なんじゃらホイッ
6
わっ、この光景、懐かしいな〜。
なんか、ジーンってするわ。
ただの登校の風景なのに…。
もしかして、俺って相当末期?
知らず知らずのうちに、ホームシックになってたのかも。
…いや、ホームシックはなかったな。
俊樹欠乏症や、姉さん恋しい病はあっても、ホームシックはなかった。
たまに妙に帰りたい時はあったけど。
あり?それをホームシックって言うんだっけ?
「ねぇ、そういえば朝夏は?」
「あ〜、ちょっと未知の世界へトリップしてたから、空気壊さないように抜け出してきた。」
「…そっか。」
鈴琉の目が、心なしか、遠い目をしてる。
うん。その気持ち、凄くわかるぞ。
あの空気は、もはや別世界だからな。
「おぉーっ、昨日来たのに、なんかもう懐かしいな!」
「いや、これから毎日ここ来るのに、それくらいで懐かしんじゃこの先どうするの?」
校門の前で歓喜している俺に、鈴琉が呆れたように言った。
う"…、おっしゃる通りで…。
そのまま、校舎に向かって足を進めていると、ある一点に人だかりができているのを見つけた。
確か、あの場所は、この学校に関する出来事の書いた新聞が貼ってある掲示板。
てことは、何か面白い記事でもあったのか?
ま、興味ないけど。
「鈴琉、どうする?見るか?」
念のため鈴琉に見たいかどうかを問う。
結構鈴琉は、こういうの見たそうな奴だからな。
「じゃあ…少しだけいい?」
「もちろん」
最近、かなりお世話になってるし、色々と連れ回したりもしたから、このくらいどーってことない。
鈴琉がその小さい体を生かして、どんどん先に進んでいく。
ここで待ってるのも退屈だし、少し覗いてみるか。
人込みを掻き分け、時には謝りながら、俺は鈴琉の後を追った。
うっ、かなりきついな…。
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