おうちでーとシリーズ-遠山金太郎- ※大学生ヒロイン、金ちゃん高校生設定 まったりとした休日のお昼過ぎ。私の部屋だと言うのに全力で寛ぐ彼氏。そんな彼そっちのけで雑誌を読む私。第三者から見たら、お世辞にもおうちデートとは見えない光景だろう。 「ゆまー」 「んー?」 「ちゅー」 「だめ」 「けちー」 大学受験も無事に終わった四月。久々に一日中一緒にいられる。…のは、嬉しいんだけど、胸の中の不安も見て見ぬフリはできない大きさだ。 受験勉強中、彼には私と遊ぶのを我慢してもらっていた。以前の彼なら、遊びたいときに遊ばなきゃ気が済まなかっただろうけど、私のために渋々了承してくれた。白石くん、金ちゃんは成長したよ。 うん、金ちゃんは成長したんだよ。だけど、それが今、私の不安の種にもなってるんだよ。当時から肉食系ではあったけど、何て言うかこう、欲がちゃんと男の子になってる。 「なぁなぁ、えーやろー。ちょっとだけやから」 「だーめ。金ちゃんのちょっとは、ちょっとじゃないの」 「ワイ、ゆまの為にめっちゃ我慢したんやで?」 「う…、それは…ごめんなさい…」 「ほんまにちょっとやから。あかん…?」 私は昔からこの顔に弱い。何も悪いことはしていないのに、なんだか罪悪感に苛まれて、首を横に振れないのだ。多分、本人にその気はないんだろうけど。 「…わかった。でも、絶対にちょっとだけだからね?」 言い終わる前に、金ちゃんの顔がみるみる笑顔になっていく。そんな顔を見せられると、全部許したくなっちゃうから危ない。 「おーきにっ!」 勢いよく私に抱きついてきた。この行動はいつものことだけど、瞳の奥にひときわ深い欲が垣間見えた気がして、背中を冷や汗が伝った。 「ん……んんっ!?」 やっぱり…!久しぶりのキスは今までで一番深いかもしれない。肩を押してみたけど、全く効果がなかった。しかも、長いよ! 「き、んちゃ、ん…」 うそつき、の言葉は再び降りてきた唇に遮られた。でも、今度のは優しく触れるだけのキス。 「ん、もう止まれへん…。このまま、ええ…?」 だめって言っても、絶対にやめてくれないのは分かってる。最初からこのつもりだったのか…!なんて、わざわざ可愛い下着をつけてきた私が言えたことではないけれど。 無言を肯定ととったのか、今度は額にひとつキスをすると、私をひょいっと抱き上げてベッドに降ろした。 「好きやで…」 耳元で囁かれて、身体中が痺れる。久しぶりのこの重みと熱を全身で感じながら、金ちゃんの首に手を回した。 ------------------ シリーズと銘打ってますが 続くかどうかはわかりません 続けたいとは思ってます。 とりあえず、 おうちデートというシチュが 好きなんです、はい← [*前へ][次へ#] [戻る] |