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まだ中学生だから-白石蔵ノ介-

私の彼氏、白石蔵ノ介は思春期真っ只中です。できれば、部屋に二人っきりなんて状況は避けたい所なのですが、今回ばかりはそう言うわけにもいきませんでした。

なぜなら、気付けば夏休みも残り3日となり、充実感と共に、ほぼ手付かずな課題が残っていたからです。この状況の打開策は、頭のいい彼氏に頼る以外にありませんでした。

課題か彼氏と二人きりか。この二つを天秤にかけたとき、私にとっては課題の方が重かったのです。





なんて、こんな冷静に現状を説明できるほどの余裕は本来無い。この課題の量、本当に笑えない。ちょっと夏休みを満喫し過ぎちゃったら、いつの間にか二学期が目前に迫っていた。優等生で通っている私が、課題を提出できないなんてあり得ない。だから、しょうがなく蔵ノ介の家に赴いた、のに。



「自分の部屋で彼女と二人っきりやのに襲わない俺偉ない?」


こんなおいしいシチュエーション滅多に無いでー?隣で飄々と危ないことをのたまいやがった。その笑顔は、悔しいが美しい。


「ばか!あんたの頭はそればっかりか!」


課題に追われてそれどころではないと言うのに、こいつは無言を肯定と解釈する幸せな頭の持ち主なので、ツッコミを入れた。愛があるわ、私。


「しょうがないやん、俺もお年頃っちゅーことや。女の子が男の部屋に来るなんて、誘ってるようなもんやろ?」

「違うわ!」


どこをどう見たら誘ってるように見えるわけ!?焦ってるんですけど!めっちゃ焦ってるんですけど!!


「もういいから早く手を動かして!」

「んー、割に合わんなぁ。ご褒美とか無いん?キスとかでええから」

「んなもんな…っ!」


突拍子の無いことを言い出した彼に抗議しようとしたが、あろうことか私の太ももに手を伸ばして撫でてきた。出そうになった声は何とか抑えたけれど、彼の手は止まらない。ば、かやろ…!それどころじゃないって言ってるだろう…!


「無いん…?」

「な、いっ…!」


男前ってつくづくずるい。こんなことされてるのに、ドキドキしちゃうし。どれだけ抵抗しても、心の奥では触られることを嫌がっていない。


思ってることがバレてるみたいに手は激しくなる一方で。手の移動範囲が広くなってきたので、いよいよまずい、と私が折れた。



「…っわかった!から、やめて、足!」

「ほんまに?後から撤回は聞かんで?」

「……うん」

「んじゃ、やったる!」


太ももは解放されたけど、もっとすごい約束しちゃった気がする。蔵ノ介が求めているのは、多分、キスなんかじゃない。ため息が出た。


さっきとは打って変わって、すごい集中力を発揮し出した蔵ノ介の様子を見れば、課題は何とかなりそうだ。課題は。






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あきゅろす。
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