襲撃



 やっと見つけた・・・



 家族の敵!!!



 絶対に許さない!!!




 この手で必ず・・・抹消してやる!!!!







――――
――――――・・・・




葉達は待っていた仲間と合流した為
先程までちょうど良かった席がギュウギュウになってしまった。


蓮達が座っていたテーブル席は、店で一番大きくて広いのだが
今は明らかにそれを超える人数で占拠されていた。



片側のソファーには身動きできない位、キツキツに詰めて一つの長椅子に座っている。
運悪く一番奥に座る事となった竜と、その隣に座る事となった青は心底きつそうだ。


あれじゃあ・・・手もまともに動けないだろうな・・・

トイレに行く時は大変な事になりそうだ・・・

なんてついてない奴らだ。と、蓮は内心人事のように感想を心の中で呟く



余談だが青の隣からは陽と許嫁のアンが座っている。

本来なら四人位なら其処まで奥の人がキツキツにはならないのだが、
それは偏に、アンが私に狭苦しい思いをさせるの?っという暗黙の眼差しに答えた結果だった。



それに比べて向かい側の長椅子ソファーに座っている者達は
ある程度なスペースを開けて座っている。

はっきりいって、何ともアンバランスだ。


因みに順番は寧、咲、華蘭・・・そして蓮だ。




何故蓮がこちら側なのか?


それは偏に、華蘭が頑張ったからであった ―――






最初陽達の方に座ろうとした蓮を、
華蘭達が向こうは座れない等と言って、無理矢理こちらに引っ張って座らしたのだ。


それでも陽がなんとか自分の横に座らそうと試みたが
先にアンが座ってしまった上に、アンがギロリと陽を睨んだ結果、渋々陽は諦めた。







こうして ―――・・・・・






突如現れた美女を独り占めしているおかげで


―――店の男たちからは嫉妬の眼差しが・・・




蓮や葉達も個々ではあるがカッコイイ部類に入るので


―――店の女たちからは羨望の眼差しが一同に向けられる事となったのだった・・・








そんな周りの視線に、
さすがの蓮達も気が付き、さすがにいたたまれなくなり・・・・・・なんて事はなく



 
周りの視線なんて気がつく訳もなく


今日の試合はどうだったか、いつ雨が止まるのか等世間話に花を咲かしていた。



「・・・で、結局の所、蓮と・・えぇっと・・華蘭さんは昔馴染みって事?」


恐る恐るといった風に再度確認をとってきた青に、蓮は簡潔に答えた。


「あぁ・・・まぁそんな所だな。」

「最後に会ったのが、丁度10歳の時ですから・・・もう四年ぶりになりますわ」

「え?マジで?」

あれから、もうそんなになるのか?っと蓮は驚いた顔を華蘭に顔を向ける。


そんな蓮に、華蘭は少し膨れたように拗ねたジト目を送り頬を膨らませた。


「蓮さま酷いですよ〜〜。」


ジトーっとこちらを見てくる華蘭

昔からどちらかというと幼い顔つきだった華蘭だったが、4年経った今もその顔つきはあまり変ってない


そんな華蘭に、正直可笑しさと懐かしさが込みあがって来たが
此処で笑うと、流石に完全に拗ねてしまうのは分かってるから

苦笑しながら、そうだったかな〜と首を傾げて華蘭を見る。






ほのぼのした空間

心から再開を喜んでいる蓮と華蘭




―― しかし・・・・


―― そんな楽しい時間に水をさす輩がいた











一歩一歩


一定のリズムで喫茶店に近づく黒い影












雨が降っているにも関わらず、その手には傘ではなくライフル銃が握られている

見るからに怪しいその者は、
全身を黒いマントで覆い、フードをすっぽりかぶっているので顔も分からない。












一定の距離まで喫茶店に近づくとそいつは止まった・・・・・
 


 





蓮達がいるテーブルが見える、ガラス貼りの窓の近くに・・・・・
 










その身から溢れるでる殺気を、全く隠そうともせずに・・・・・・










    

客が溢れかえっている喫茶店のガラス窓から、少しだけ離れた位置に立ち

其処から確認できる標的を、まるで目だけで殺せそうな殺気を纏って睨む。




そして、標的の人物が笑ったのが視界に入った瞬間



体中に纏う殺気が何倍にも膨れ上がった


その姿はまるで鬼か、阿修羅か・・・・












―― こちらに向けられている強烈な殺気に、いち早く気がついたのは蓮だった。





「っ!!!全員伏せろ!!!」



ドドドドド!!!







蓮が間欠泉の如く勢いよく噴き出るように溢れだした殺気に気がついた瞬間

身体は条件反射の様に動いた。







敵が何処にいるのか分からない。


もしかしたら爆弾を投げ込んだり、身体の自由を奪う薬を撒く可能性だってある。



だがそんな事を考える暇もなく叫んだのは、
偏に今までの人生で育まれた、勘と経験によるものだった。




蓮が大きく叫んだその瞬間


突如店内に銃声が鳴り響き、店の窓ガラスが見るも粉々に砕け散った。








蓮は大声で叫んだ後、隣にいた華蘭を守るように抱き込み床に伏せ

運よく客が席を立ったばかりで空だった隣のテーブルを横倒しにすると、それを背に当てて盾代わりにし
華蘭をギュッと抱きしめ、まるで今日の雨のように降り注ぐ銃撃から身を防いだ。


何故自分の席にある目の前のテーブルを使わなかったのかと言うと、
自分達の仲間に盾代わりに使ってもらう為である。



店にいた他の客も机の下等に身を隠して、銃声が鳴りやむのをひたすら待った。









中々鳴り止まない銃弾に、
皆身を屈めて、止むのをひたすら祈るようにして待つしかなかった。

それは、時間にすればほんの数秒にも満たなかっただろうが、客たちにはとても長い時間に感じられた。












やがて弾切れか、はたまた襲撃者の作戦か




襲撃からほんの数分後に銃声はピタリと鳴り止んだ――・・・












銃声の止んだ店の中は込み上げる立ち込める硝煙で中の様子は見えずらくなり、
粉々に割れた窓ガラスや照明器具等で散乱していた。






ほんの数分前までは、皆が笑い

和気藹々としていた人気の喫茶店の姿は



突如として、戦場と化した ――――・・・・・・・・












[2014/1/18]


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あきゅろす。
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