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店の出入り口で大胆な抱擁を交わし、皆の視線を現在進行形で一身に集めている蓮と華蘭


その光景を口を大きく開けて放心しながら見る者
好奇心旺盛に熱心に見詰める者達で店の中は溢れかえっていた。



店の者殆どが羨望と嫉妬と一部の好奇の眼差しを送る中
未だ抱擁を交わし続けている2人は

周りの視線に全く気がつく事なく会話に花を咲かせていた。



「会うのは何年ぶりだ?いや、そんな事よりも何でこんな所に?」

「この大会にあなたが参加するって噂を聞いたんです!
 そしたら居てもたってもいられなくて!!」

「そうだったのか・・・」

「すっっっごく会いたかったです・・・この日をどれだけ夢見て・・」
「「ちょっと華蘭!!」」


「・・・・どうしたの二人とも?」


このままだと2人の世界がいつまでも繰り広げられる、と焦った華蘭の仲間二人が、
華蘭の言葉を遮る事も気にせず思い切って声をかけてきた。


会話を中断された事をさして気にもしていない様子だが、
不思議そうな顔で小首を傾げながら、未だ蓮の腕の中にいる華蘭を引っ張り出し

少し離れた場所に移動すると
蓮に背中を向けて、コソコソと内緒話をする為に顔を寄せあった。



「ちょっと、一体何なのよι」

「あの人誰?!」(すっっっごくかっこいいじゃない!)

「私達にも紹介してよ!!」(超好みv)


2人とも凄い剣幕で言い終えると、チラッと目だけを蓮の方へ向ける。


まるで見定めるように
髪の毛から靴の先まで食い入る様に蓮を見つめた。







最初見た時は漆黒の黒髪に見えたが、光が当たると濁りのない藍色が入っているのが分かった。


自分にある程度の自信を持っている自分達でさえ羨むほどの綺麗な濡鴉の髪は
今は濡れているけれど、きっと髪が渇いたら

梳くっても梳くっても絡まる事なく落ちるだろうサラサラな髪質という事が容易く想像できた。


身長は見た感じ165センチ位で高いという訳ではないが、
背筋をピンと伸ばしている立ち姿は無意識に目が追ってしまう位美しい。


自分達と同じ中国出身なのだろうか
所々態と穴を開けている黒のチャイナドレス風の服がとても良く似合っていた。


しかも胸元のベルトは外れていて、其処からは
見た感じ優男風なのに服の上からでも分かる位無駄のない筋肉がついているのが分かる。


まつ毛は長く、瞳は綺麗で珍しい金色をしている。
切れ長の目だけどきつい印象は全然見当たらない。








詰まる所・・・・・








華蘭と並んでも一つも劣る所のない綺麗で良い男なのだ

突如として現れ、自分達の仲間である華蘭と熱い抱擁を交わしていた男は ―――・・・・・










一通り頭から足まで見終えると
キラキラした目で何処か恍惚とした表情を華蘭に戻し、ものすごい勢いで顔を近づけた。



一方の華蘭も
会いたいと焦がれ続け、再会する日を信じて何年も前から探していた人に漸く会える事が出来たのだ。


興奮するなという方が無理というもので
テンションもうなぎ上りの為か、普段より口が軽くなっていた。


そして
思わず仲間も見惚れる位綺麗な満面の笑みを浮かべて華蘭は自分の仲間達に紹介した。



「この人よ!私がずっと探していた人・・!名前は道・蓮」


心底嬉しそうに早口で言い終えると、華蘭はまた蓮の元へ走り寄った。

そして蓮の腕を引っ張り、華蘭は友の元へと蓮を連れて行った。




「蓮さま!この2人は私の仲間でねいさきって言います。」


「よろしく〜v」( ホント嘘みたい!想像してたのと全然違うじゃないの!)

「よろしくお願いしま〜すv」( こりゃ華蘭も追い続ける訳だわ・・・)


華蘭の想い人に2人は目が釘付け
雨に濡れてる所が特に良し!と心の中でガッツポーズをしていた。





――――― そんなこんなで・・・・





さすがに出入り口にこれ以上いる訳にもいかないので
皆で一緒に葉達の席へ移動する事になった。







「待たせて悪かったな」

「全くだわ」
「「「・・・・・」」」



苦笑いを浮かべながら陽達がいる席まで来た蓮を
竜、青、そして陽はあんぐりと口を開けて呆然と見る事しか出来なかった。


それとは対照的に
アンは相変わらずな悪態を付いてはいるが、やはり気になるのか、
はたまた陽にちょっかいを出す者かどうか見極めているのか

何時もより強い、相手もビビって逃げ出すような鋭い視線で、華蘭達を見据えていた。



そんな陽の許嫁であるアン自身も、とても綺麗な顔立ちをしていて、
百人に聞いたら全員が美人と答える程の美貌の為

そんなアンの睨みは、正直一般人なら震えあがる程の恐ろしさがあった。



流石の蓮も、そんなアンの視線には気づき
頬を引き攣らせたのは無理もない事であろう・・・・




なんとか空気を変えようと、男共の中で一早く復活した青が率先して自己紹介をしだした。

ムードメーカな青に助かったと言わんばかりに、蓮も皆に華蘭の事を紹介した。






( なんとか )笑顔で自己紹介を終え

新たに加わった美女3人を皆は歓迎した。







・・・が、内心






(まじかよ蓮にこんなかわいい友達が・・・)

(信じらんねぇ)

(・・・何だよ・・・蓮の奴、華蘭って人とばっかり話て・・・・)

(陽の奴・・・また蓮の事ばっかり見て・・・相変わらずのバカなんだから・・・・“怒”)








・・・等と、内心は驚きを隠す事が出来ないでいたのであった。












[2013/10/30]


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