若王子先生誕生日企画 きみの心に触れさせて 見上げれば、そこは伝説の灯台。 学校の帰り道、彼女一一森崎さんと、たわいもない話をしながら一緒に歩いていた時に、一度だけ伝説について話した事があったな……と、僕は目の前の灯台を見つめながら思った。 卒業式の後、森崎さんにどうしても会いたくて、確かめたくて一一。 何の根拠もないのに、僕は何故か導かれる様にこの場所に来ていた。 「……開いてる。」 閉まっている筈の扉が開いている事に、僕はドキドキしながらその場に足を踏み入れると、目の前の階段を昇り始めた。 一一思えば、森崎さんが僕の心に触れてきた時から、僕の人生は変わり始めた。 僕の世界に彩りを与えてくれた。 ……僕が生きている意味を教えてくれた。 愛を、教えてくれた………。 階段を昇りきり、外へ出るであろう扉の前で、僕は一つ深呼吸をする。 ガチャ、と重い音のする扉を開けると。 眩しい程の夕焼けと、それを眺める森崎さんの後ろ姿があった。 ねえ、教えて欲しいんだ。 一一君が、僕をどう思っているかを。 君が僕の心に触れてくれたように。 どうか、きみの心に触れさせて。 END [*前へ][次へ#] |