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若王子先生誕生日企画
眠るきみに秘密の愛を

誰もいない静かな空間で、消毒液の臭いだけが鼻につく。


保健室のベッドに横になる彼女のサラサラの髪を優しく撫でた。


「……心配させないで下さい。」



登校してきた彼女の虚ろに潤んだ瞳に異変を感じた僕は、朝の挨拶を交わすと、有無を言わさず保健室へと彼女を連れてくると、そっと額に手を当てた。


「やや!熱いです。今、保健の先生を呼んできますから…ちょっと横になってて下さい。」


あれから、慌てて保健室を出て……保健の先生に頼んで……。


「おかげで、HRは全く集中出来ませんでした……。」


こんなにも、僕は君でいっぱいなんだ。


僕を構成する分子一つ一つが、君を求めて止まない。


「愛してる……。」


眠る君に秘密の愛を捧げ、僕は微笑む。


重なり合った唇は、いつもより熱くて。


伝わる熱が、僕の全身を巡り愛しさを募らせる。


「ん……先、生……。」


ぼんやりと瞳を開けた彼女の視線が、ゆっくりと僕を捉え照準を合わせていくのが分かる。


「暮羽さん……。どうして熱があるのに、お休みしなかったんですか?」


僕を見つめる瞳に微笑み尋ねると、彼女は視線をゆっくり外し呟いた。


「……若王子先生に会いたかったから……。」


僕は、暮羽さんを優しく抱きしめると、もう一度いつもより熱い唇にキスをした。


君が眠っていても、起きていても。


僕達の愛が秘密であることに変わりはないけれど。


それでも、君に捧げる愛は本物だから。



END

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