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かけがえの無い世界
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まず最初に目に入ったのは、地面スレスレまである大きな白いマントと漆黒の長い髪だった


「だれ……だ……?」


精一杯の力を振り絞って、その誰かの後ろ姿に途切れ途切れの言葉を発する


「……この荒野に人間がいるとはね、どうせ飛ばされて来たんでしょうけど」


彼女は血まみれになった僕を一瞥した後、歩き去ってしまった


何がなんだか分からない


僕は何故、こんな何も無い所で倒れているんだろうか?


僕はさっきまでいつものベッドで寝ていた筈なのに……


それに、こんなだだっ広い荒野は日本に存在するのだろうか?


しかし何も分からない僕でも、「生き物」としての本能があることを感じとっていた


「僕は……死ぬのかな」


血まみれで手足がもげた状態で荒野に一人きり

痛覚が限界を超えたのか痛みは全く無いけど、そんな状況で生を見出だすことが出来ずに


僕の意識はシャットダウンした

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