かけがえの無い世界 0-1 まず最初に目に入ったのは、地面スレスレまである大きな白いマントと漆黒の長い髪だった 「だれ……だ……?」 精一杯の力を振り絞って、その誰かの後ろ姿に途切れ途切れの言葉を発する 「……この荒野に人間がいるとはね、どうせ飛ばされて来たんでしょうけど」 彼女は血まみれになった僕を一瞥した後、歩き去ってしまった 何がなんだか分からない 僕は何故、こんな何も無い所で倒れているんだろうか? 僕はさっきまでいつものベッドで寝ていた筈なのに…… それに、こんなだだっ広い荒野は日本に存在するのだろうか? しかし何も分からない僕でも、「生き物」としての本能があることを感じとっていた 「僕は……死ぬのかな」 血まみれで手足がもげた状態で荒野に一人きり 痛覚が限界を超えたのか痛みは全く無いけど、そんな状況で生を見出だすことが出来ずに 僕の意識はシャットダウンした [次へ#] |