両腕が欠落してる女の子
「レンは、悪くないよ…。悪いのは私…レンの言うこと、ちゃんと聞いてればこんな事にならなかった…ごめんなさいっ…」
涙は流したくないけど、止まらないの。
でも、そんな涙を拭い取ってくれるレン手が愛おしくて余計に涙が溢れ出る。
「俺の方こそごめん、怒鳴ったりして」
「ううん…私がしつこかったから、」
「違う。…あれ以上くっついたら、その…止まりそうになくて、」
「え、なに?」
「…リンってほんと鈍感だね」
レンはさっきとは別にくすくす笑いだす。
笑ってくれたのは嬉しいけど理解が出来ない。
「部屋に男と女。ましてや腕ないんじゃ抵抗も何もないだろ?だから…」
レンの眼が変わった事に気がつくより早く手が伸びてきて肩を軽く押され私の身体は簡単にベットに沈む。
見上げる天井はすぐにレンになり、その表情で私はやっと理解した。
「…レンもあの男と同じね」
「俺我慢してたじゃん!」
「考えてることは全く一緒」
「仕方ねーだろ、男なんだし」
そこで会話がぶつっと途絶えた。繋げれるのに繋げない。いや、繋げれなかった。
だって、私を見つめるレンの瞳がすごく痛いんだもん。
「…あいつらに先越されちまった」
レンはとても悲しそうな、辛そうな顔をした。その表情を見ると胸が痛くてしょうがない。
もう、そんな顔は見たくなかった。
「……抱いて」
「え…」
「汚れた身体を綺麗にして。…記憶も、レンで上書きして」
忘れたい。あの恐怖を。
身体に染み付いた毒を取り除いて。
「…わかった」
そう言ったレンの顔は安心した顔だった。
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