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小説
近くて、遠い


「リン…リン、リン、」


愛おしい人の名前を呼ぶ。何度も何度も。けど、その呼び掛けには答えてくれない。自分の声だけが虚しく反響する。
何故?目の前に居るのに、どうして触れることが出来ない?


「リン、…リン、」


オレの目に映るのは、涙を流しながら何かを叫び、手を伸ばしているリンの姿。多分、オレの名前を呼んでいるんだろう。
その姿を見ているのが、いまのオレにはすごく辛い。


「く、そっ…!!!」


力一杯に鏡を叩く。けれど鏡はびくともしない。
すぐ、目の前に居るのに、伸ばした手をとってあげたいのに、抱きしめてあげたいのに、それを許さない鏡がある。
なんでオレたちは、こんな目に合わかきゃいけないんだろう。
もしこれがオレたちの運命なら、なんでこんなに、酷いんだろう。


「リン…、ごめんっ」


オレはただ、鏡の中に居る君を見ていることしか出来ない。
こんな、何も出来ない、無力なオレを、許してくれ。

この言葉が届いたように、リンが微かに微笑んだ。










近くて、遠い


こんなに、近くにいるのに

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あきゅろす。
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