小説
オレのために笑って
無邪気な笑い声。声を聞くだけで自然と愛おしい人を思い出す。
オレより少し小さくて、こどもっぽくて、気が強くて、無邪気で、笑った顔が眩しくて…。
いつもオレを引っ張って明るい道に連れてってくれる、オレにとって偉大な存在。
「…レ……、…ン」
ふわふわしてて、目が合うと笑って、手を差し延べてきて、いつも傍に居てくれる。
「…ね……ン、…レ…」
でも、そんな大切な存在がオレなんかと一緒に居ていいんだろうか。オレのせいで彼女が不幸にならないだろうか。オレの存在が…
「レンってばッ!!」
「え?…ああ、リン。どうしたの?」
リン。オレの双子の姉。愛おしい、大切な存在。オレにとって、明日の道を照らしてくれる光。
「どうしたの?じゃないよ!!さっきからずっと呼んでたのに…」
「あ、ごめん…」
ほら、こうしてオレはまた君の笑顔を奪ってしまった。自分が一番望んでいるはずなのに、自分で消してしまう。
いつもその繰り返し。オレはなんて欲張りなんだろう。
でも、リンはそんなオレにいつも通りに振る舞う。
「…もういいよ、それより、カイ兄がおかし買ってきてくれたから食べに行こう♪」
そう言ってリンはオレの腕を掴み、走り出す。その時のリンの表情は、オレがいつも見ている嬉しそうな顔だった。
オレのために笑って
笑った顔を、見ていたい
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