変態とゆるきゃらのお話 プロローグ むかーしむかし、日本国に一人のしがない青年が居ました。 青年は残念ながら職に就けず、ただただ公園の長になっていました。 「あぁ……何かを作って売る職業に就いて白米を食べたいなあ」 湿ったダンボールを食べる生活に、とうとうけりをつけたくなり、ふと思いました。 そこで青年は何か売れそうなものを考えました。 青年の頭の中では人間が必要とする物イコール売れる物という方程式がインプットされていました。 (人間が必要とする物って……一体何だろう?) もちろん人間が最も必要とする物は食べ物ですが、青年には作れません。 アイディアが思い浮かばず、ブランコでぐったりしていると、小さな男の子とその母親の会話を耳に挟みました。 「おかーさん!おもらししちゃった!気持ち悪いよう……」 「ケンちゃんっ!もう、悪い子ね。換えのパンツなんてあるわけないわよ!」 「う……うう……うわーん!!」 「まったく……。ほら、脱いで!………!?ケンちゃん!一体どうやってパンツ破ったの!?」 「知らないよう……!!滑り台で滑ってただけだもん!」 青年は小さな男の子を哀れみました。 この世界にちびっても気持ちが悪くなく、防弾チョッキにも負けぬ丈夫なパンツがあれば、叱られずにすんだはず。 青年は決心しました。 すっと息を吸い込むと、今までの自販機のおつりの取り出し口に取り出し忘れたおつりを調達した全財産(五百七十円)を手にし、ユザ●ヤにかけこみました。 そして、特別な布とかわいらしいアップリケ(安売りコーナー)を買い、子供サイズの小さなパンツを作りました。 次の日、あの小さな男の子がやってきました。 青年はさっそくパンツをあげました。 「ほぅら、このパンツを君にあげるよ!このパンツは魔法のパンツなんだよ」 「えっ?魔法のパンツ?」 「そうさ。おもらししても気持ち悪くならないし、すべり台を五百万回すべっても破れないんだ」 「へぇ〜……すごいね!お兄ちゃん!………でも、名前がダサいよう……」 「う……うーん。……じゃあ、君は何が好きなのかな?」 「コマネチ!!」 「なら、今日からそのパンツはコマネチパンツだ!!」 これが、コマネチパンツの始まりです。 その後、コマネチパンツはブランド化しましたとさ。 [戻る] |