世界の終わりという名の日に
その後
「ちょっと、寒いですね。」

「そうだな……あれ?お前、鼻血出てんぞ。」

先輩にそう言われ、鼻の下あたりを指でなでてみる。
指には、濃い赤色の液体がべっとりと付いていた。

「あっ、本当だ。」

「ほらよ。」

先輩はズボンのポケットの中から、ポケットティッシュを出して私に投げてよこした。つくづく準備が良い人だ。

「ありがとうございます。」

血を拭き取って、丸めたティッシュを鼻に詰める。
ふと、空を見ると、白い粉のようなものが降ってきた。

「あれ?雪か?今夏なのに。」

確かに先輩が言った通り、今は夏だから雪なんて降るはずがない。
空から降ってきたそれを、手に取ってよく見ると雪にしては冷たくなく、少し灰色っぽかった。

「まぁ、いいか。」

「そうですね。」

雪でもないそれは、降り続ける。
まるで、この世界を埋め尽くすかのように。

「んじゃあ、行くか。」

「はい。」

私と先輩はまた、歩き出す。
人がいなくなった街を、灰色の雪のようなものはさっきよりも一層激しく降らせ、その街を、この世界を、飲み込んでいった。




fin

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