世界の終わりという名の日に
C
「……もしかしたら。」
「?」
「もしかしたら今日、この世界が終わるのかもな。」
先輩が突然、中学生みたいな笑みを浮かべながらそんなことを言い出した。
私は最初、先輩が何を言っているのかが分からなかった。
そう思っていた事が顔に出たのだろうか、先輩は私の顔を見るいなや、くっくっくっと笑い出した。
「冗談だよ。冗談。」
「は、はぁ。」
空は相変わらず曇ったままだ。
隙間なく雲が敷き詰められ、僅かな太陽の光さえ差し込んでいなかった。
「俺はこんな世界終わってもいいかな。」
「何でですか?」
先輩は悲しげに話し始めた。
「だってよ、毎日のようにどっかで人が死んでんだぜ。身近な所とか、俺達の知らないどこか遠い所で。毎日、毎日、人が人を殺したり、人が人を傷つけて悲しんで泣いたりしている。お前には耐えられるか?それが。俺には、とてもじゃないが耐えられん。だからよ、終わってもいいんだよ。こんな世界。」
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