世界の終わりという名の日に

それから、二人して街を歩く。
人はさっきと比べて少なくなっていた。
途中、小さい子供達の群れとすれ違う。
皆、地面にしゃがみ込んでいて、コンクリートの一点をじっと見つめていた。
気になって声を掛けようとしたが、先輩に「早くしろ、置いていくぞ。」なんて言われてしまったので諦めた。
その子供達と遭遇してからは、人とすれ違うことは無かった。

「そういや、今日のニュース見たか?」

黙って歩いていた先輩が、やっと口を開いた。

「発電所が爆発したやつですよね?」

「おう。」

「なら、見ましたよ。」

「ありゃあ、凄いよな。」

「そうですね。」

先輩は髪をかきあげながら、「人少ねぇな。」と一人ぼそっと呟いた。
しばらく歩いて、ある河川敷にたどり着く。
勿論、そこにも人があまりいない。
いるとしても、学生服を着た少年が草むらに寝転がって、空を仰ぎ見ているだけだ。
ここは、静寂という言葉が当てはまるぐらい、静かだ。

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あきゅろす。
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