カナリヤ
2
「えーー!!アイツ学校辞めたのかよ!」
祐司が紘に詰め寄って尋ねる。
「ちょっと、苦しいじゃないの。リクが学校を辞めたのは事実よ。それにしても困ったわね〜。ボーカルが居なきゃあ、話にならないわ。」
祐司は、肩を落としてその場に座り込んだ。
「あー、どーしよう。ボーカルがいねぇとライブ出来ねぇじゃん!」
頭を抱える祐司に紘は、
「大丈夫よ!あたしがボーカルやってあげる〜♪」
ここで、ようやく航が口を開いた。
「変わりを探せば良いんじゃないのか?」
「それだァーーーーー!!」
祐司が立ち上がって、航を指差し叫んだ。その間、「ちょっと、あたしはぁ〜?」という紘の抗議が飛んだが、祐司は右から左に受け流したらしい。
「よしッ!じゃあ、俺変わり探して来るわ !」
そう言い残し祐司は、疾風の如く部室を出て行った。
残された男(一名オカマ)二人…。
「行動が早い奴だな。」
「ふん。」
ポツリと呟いた航を横目に紘は、ふてくされた表情を浮かべたまま、ベースのチューニングを始めた。
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