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[ REBORN ]
共にこの夜を越えられたなら、




白蘭→ユニ




「ユニちゃん、これプレゼント」

「………、……」

「どーぞ。受け取って」



瞬き程度の反応すら返ってこないと知っていて彼女に問い掛けたり話し掛けたりする僕は第三者から見れば相当な変人なんじゃないのかな。因みにプレゼントは小さな小さな緑色の可愛い葉っぱ。普段は3つに分かれてるはずなんだけど、僕が彼女に差し出しているそれは…4つ。所謂4つ葉のクローバーと呼ばれる幸せの象徴。
幸せの象徴って言うくらいだし鳩と似たようなものかなぁ…なんて考えていたら結構呆れられた覚えがあるんだ…とかいう話は置いといてさ。ね?わかる?…ほら、女の子なんてこういうの好きじゃない?昼飯食いに出たとき偶然見付けたんだけど、ユニちゃん喜んでくれるかもしれないって思ったのね。ブルーベルなんか欲しがっちゃって大変だったんだよ?僕ユニちゃんのために死守したんだ。だから、ね、受け取ってくれるかな?



「………、」



やっぱり、無反応。深く椅子に腰掛けるユニちゃんは若干俯き加減に真正面を向いていて、視線を合わせるには僕が膝を着いて彼女の顔を覗き込むしかない。だから僕は始終両膝を着いていなきゃいけない訳で…接地するのが不慣れな膝小僧達がちょっとジンジンしつつあるのは格好悪いから秘密だ。そんな事より自分がしたこととはいえ、ここまで無反応を通されるとちょっと悲しい。僕は人差し指と親指でくるくるくるくる、幸せになれるらしいクローバーを弄びながら微かな溜め息を洩らす。

少しくらい動けるようにすればよかったかな。喋るとかは絶対駄目だけど…せめて、表情くらいは。僕の言葉に反応する感じで瞳を細めて笑ったり眉根を寄せて怒ったり顔をくしゃくしゃにして泣きそうになったり。ほら、こんなに楽しそう。あぁ、でも、やっぱりそんな面倒臭いのは要らないかもしれない。
あの凛とした碧眼に僕を映してほしいし、あの柔らかい声で僕の名前を呼んでほしいだけなのかも。あわよくば、彼女の笑みを独占したい…とか。僕の知らない彼女の過去を知っている奴らが嫌いだ。




「ユニちゃん、」

( 瞬きさえしない幼い顔 )

「ねぇ、聞こえる?…聞いて」

( 透き通るような青には僕の顔 )

「大好きだよ。本当に」

( 顔を歪めている僕は現実? )

「聞こえてなくてもいいや」

( この頬に触れることは許されるかな )

「いなくならないで」

( 泣きたくはないんだけどなぁ )

「お願い聞いてくれる?」




彼女に触れようとして伸ばした手は誰に叩き落とされる事も彼女に拒絶される事もなかったけれど、その代わり、何故だか触れる直前に躊躇われて。結局頬を撫でるのすら叶わなかった情けない僕の手は空を切るようにして拳を作り出す事しか出来なかった。立ち上がろうとして少しだけ視線を落とした時、まだ持ったままだった幸せの象徴を思い出した。無意識下で握り締められていたらしいそれは彼女に差し出した時とは打って変わってしおしおと今にも枯れてしまいそう…きっと水に浸けても何をしても助からない。

あぁ、それならいっそ、




「…幸せにしてあげる」




僕はしおれかけのクローバーを彼女の膝上へ乗せながら立ち上がる。膝小僧が痛いだとか、やっぱり彼女は無反応なんだろうなぁ、とか。そんな事ばっかり考えていた僕は他を見る余裕はなかったみたいで…、だから、


本当は彼女がクローバーを見つめているだなんて気付きもしなかったんだ。






んでしまったけれど、
ちゃんとってくれますか

( ユニちゃんユニちゃんユニちゃん、 )
( いつか、伝わりますか )



fin,
( Thanks:honey bunch )





maetsugi
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