1 ねえ、ロイ。 俺、こんなにもロイのこと想ったのは初めてかも。 * 一分一秒でも長く ソバに居て * 雨は嫌いだ。 寒くて冷たくて…まるで「死」みたいだから。 今まで何人の傷ついた人を見ただろう。 今まで何人のしんだ人を見ただろう。 ―――そして何人の人を傷つけただろう。 雨の降る夜は怖い。 何の明かりもない暗闇の中を「死」が歩いてやって来るような気がして。 だから、こんな日は一人、ベットの中でうずくまるんだ。 小さく、小さくなって「死」に見つからないように。 ねえ、ロイ。 今、俺が居なくなったらどうする? こんなことを聞いても「愚問だ」って、はね返すんだろうけど。 でも、時々心配になるんだ。 俺はロイのソバに居ていいのかって。 俺より沢山傷ついた人を見て、しんだ人を見て、傷つけて…殺したロイ。 イシュヴァールの英雄だなんて言われてるけど、ロイは苦しんでることを俺は知ってる。 ただの人殺し、だって。 でも俺は構わない。 ロイはロイだから。 俺が居なくたって大丈夫だよね? 一人で生きていけるよね? 俺と出会う前みたいにさ。 [次へ#] [戻る] |