心配させないように君から送られた笑顔は淋しさを感じさせるもので、私にはそれが酷く悲しかった。 「嘘つき」 自分でも気付かない間に私の二本の腕は君をしっかりと抱きしめていた。柔らかな金色の髪からは、私と同じシャンプーの香りがする。 「何か理由があるんだろ?」 本当に、本当に教えてほしい。君を淋しくさせるものは何なのか、と。私の好きな笑顔が今はひどく悲しいのだ。 少し間が空いたあと、君はこう呟いた。 「また、来年も一緒にいれるよな?」 私の胸に顔を埋めているせいで(半ば私が抱きしめているせいでもあるが)、はっきりとは聞こえなかったが、私は確実に君の言葉を理解した。 お互いに目指している目標がある。しかし、その目標へは危険が付いてくる事が当然で。君はそれを心配しているのだろう。 「大丈夫だ」 絶対に。絶対に私は君からいなくならない。 「どんなことがあろうとも、君の心から離れないことを誓うよ」 また来年も、その次の年も、ずっとずっと。こんなにも愛おしい君から離れるなんて考えやしないさ。 「愛してる、エド」 本当に愛している。私は君を淋しくさせないことを誓うよ。 「うん」 ランプの光でうっすら伺える君の片耳は薔薇色に染まっていて、これでは顔は真っ赤なんだろうと思いながら、私はランプの光をぷつんと消した。 「おやすみ」 * end * |