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「何でお礼なんて言うの?あたし、思っていること言っただけなのに」
いいや、そんなことはない。
「俺、やっぱりロイが好き。気付かせてくれて、ありがとう」
最大級の感謝を込めて、俺は彼女に伝えた。ありがとう、ありがとう。
「そんなこと言われると、また泣けてきちゃうじゃない」
困ったように笑う彼女の瞳には、うっすらと涙が滲んでいた。ああ、また俺は彼女を泣かせてしまうのか。
「ああ…ごめん」
「謝らなくていいよ。あたしこそ、好きにならせてくれて、ありがとう」
真っ正面からお礼を言われると、恥ずかしいな、なんて思っていると彼女は「じゃあね」と言って別れの挨拶をした。
「おう、また明日」
明日、また教室で。また、クラスメイトとして。
彼女の姿が見えなくなるまで、廊下で後ろ姿をぼんやり見つめていた。俺はロイが好き。きっと今日は今までで一番そう思ったに違いない。彼女のおかげ。そういえば、ロイを教室に残してきたんだった。きっともうあの半永久的な作業はロイの偉大な集中力によって終わらされているだろう。早く戻らなければ。大好きな親友殿の元へ。



* to be continue *


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