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昔から涙脆いと言われてきた俺だけど、今、俺は泣き出しそうなほど困っている。いっそのこと、泣いてしまえば楽になれるのだろうけど、残念ながら俺よりも先に泣いてしまうかもしれない彼女(普段は泣くなんて絶対にないような子なのだ!)が俺の前にいるので、俺は泣くわけにはいかないのだ(万が一、俺が泣いてしまったら、彼女はキョトンとした顔で俺を見た後少し軽蔑するだろう)。こういう時どうやって対応すればいいんだっけ、なんて必死に考えて涙のことを忘れていたら、彼女はとうとう泣いてしまった。



仕合わせオイリュトミー
第一部第三話 月の女神 紅の泪



決して俺が泣かせたわけではない(と思いたい)のだが、現に泣いている彼女、シンシア嬢の前でおどおどしている奴は勿論、この俺、エドワード・エルリックで、ついさっきの出来事を知らない人がただ単に通りすがりにこの情景を見たならば、まず始めに俺の顔をギロリと冷えた目線で攻撃してくるのだろう。
その判断は間違いではない、と思う。


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