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「な、な、な、なんでもねぇよ!」
思わず発した言葉は、声が上擦ってしまった。このこともやっぱり漆黒にはおかしいのだろう。また一人で笑い始めた。
「ははは、そうかそうか。エドは元気か。それは何よりだ。」
そういって私は小さな彼を抱きしめる。きっと顔まで布団で覆っている彼には何が起きているのか、分かっていないだろう。それでもいいのだ。彼が私の腕の中にいることは真実なのだから。
この腕を離さないようにしよう。彼がいなくなってしまわないように。彼と離れないように。彼と一緒にいられるように。
でも彼にはやらなければならない『大切』なことがあるのだ。愛するものの幸せを願うのが、紳士というものだろう。彼の行く道を妨げてはならやい。だけど、今だけ、少しだけ、彼を私のものにしておこう。彼と離れていても、繋がっていれるように。
「エド、」
だから私にとって『大切』な言葉を彼に伝えておこうとしよう。
「愛してる。」
布団一枚の壁を通りこしてやって来る言葉は、俺にとっては甘過ぎる。たった一言でも、彼の紡ぐ言葉は俺にとってそれは、甘いま甘い蜜だ。そして俺は蜜に誘われて念いが唇を割って出てくるのだ。
「俺も・・・愛してる、」
『大切』な、愛しい彼へ向けて。
「ロイ。」


* end *




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