「そこまでいうなら、食ってやる。」 素直ではない金色。それをよしとする漆黒。他人から見たら、それは奇妙なやり取りなのだろう。だが、そんなことは彼らには関係のないことなのだ。 *** 「・・・ん・・・」 昨日のことを回想していると、隣で眠っていた漆黒が瞼を微かに震わせた。 「大佐?」 今度こそは起きるだろうか、等と思いながら呼びかけてみる。 「やぁ、鋼の。おはよう。」 ゆっくりと瞼を開けてにこりと金色に微笑む。まだ眠そうにいう彼は何だか可愛い。 「おはよ。」 くすりと笑い返事をする。何だか今、とっても幸せな気持ちだ。何故だか分からないけど、今、全てが愛おしい。この時間も、空気も、そして彼も。 「なぁ、大佐、」 一度言葉を切り、彼の瞳を見つめる。その漆黒の瞳は今にも俺を飲み込んでしまいそうなほど、深くて。 「俺、今、幸せ。」 だけど、その深さは俺を安心させてくれるものでもあるのだ。だって、それは彼の色だから。 何故、彼が俺を呼んだりしたのかはこの際、もうどうでも良い。そう思うことにしよう。 漆黒は、というと、突然の金色の言葉に少々驚いているものの、微笑んでそれを受け止めた。 |