「で、あの、ダイヤ。」
「うん。」
「ち、近くない?私の気のせい?」
オイラもそりゃあ男なわけで、可愛い彼女のなまえを抱き締めたいとか、キスしたいとか、色々思う事はあって。今のところなまえとは手をつなぐ事が精一杯。だったのに。いやにニヤニヤしていたパールに背中を押されてよろけた結果。
「ダイヤ?聞こえてる?」
「もちろん聞こえてるよ〜。」
なぜかなまえを押し倒す形でおさまって、心臓はドキドキしすぎて破裂しそう。なまえの顔が心なしか赤くなっていて表情も少し焦ってるみたい。可愛いな〜、と思っていたら思わず口から予想外な言葉が飛び出した。
「なまえ、キスしても良い?」
オイラの下にいるなまえはもちろんオイラ自身も驚いて、二人一緒に固まる。
「…………。」
先に動いたのはなまえで、さっきよりも赤くなった顔でオイラを見たあと、きゅっと目を瞑った。この行動は肯定と見て良いのかな、と思いながらゆっくり顔を近付ける。あと少し、ってとこでオイラも目を閉じた瞬間。近くの茂みがガサガサと大きな音を立てて、不可抗力でびくりと肩が跳ねたのと同時にまた目を開いた。そして、唇には柔らかな違和感。柔らかっていうより滑らかで、あれ、と思うと、オイラと同じタイミングで目を開けたなまえと視線が至近距離でぶつかる。ちょっと顔を離してなまえをみると二人で照れ笑いと苦笑をした。
だってオイラがキスした所が、唇ともほっぺとも言えない微妙な場所だったから。
ほっぺた以上
くちびる未満
(なんだよ、キスしなかったのかよ!)
(ダイヤもなまえも情けないですね。)
((パール!お嬢様!二人とも見てたの!?))
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