19:メルト・グローリーズ(ラムネさま)
真っ赤な日差しを浴びて公園のブランコに乗って漕いでいると今日も視線を感じた。またあの女の子か…?と思って後ろを振り向くとやっぱりあの女の子がジーと俺を見ていた。肩の上でライチュウが「ちゃあ」と挨拶をすると女の子は手を上げて「ちゃあ」とライチュウに挨拶を返した。

「今日もそこ座っていいですかー?」
「ああ」

隣のブランコに腰掛けてポケットをがさがさ漁り始めた女の子にライチュウが俺の肩から降りて女の子の膝の上に座った。女の子は俺のほうを少し警戒したように向いて「新手のナンパ方法を私で試しているんですか…?」とませたことを聞いてきたから「違えよ、そいつが勝手にしたことだ」って返した。女の子は安心したのか「ですよねー、お星様の化身にロリコン趣味なんて人類が滅亡してもありえませんよねー」。

少し疑ってたのか、この糞餓鬼…!

「あめちゃん、舐めますー?」
「ああ、」
「プリン味とチョコバナナ味のどっちがいいですかー?」
「やっぱ遠慮しとくわ」
「ちっ、意気地無し」

なんか女の子の言葉にかっちーんと来たから「プリン味」と言うと小さな掌に握られた飴を渡してきた。口の中に入れるとなんともいえない味が広がって思わず眉をしかめてしまった。女の子が不意に口を開いた。

「私、早く大人になりたいんですよ」
「なんでだ?大人って、この間は子供のままがいいですーって言ってたなかったか?」
「2週間前の私は消えました。子供は日々成長するんですよー」

そう言ってブランコを漕ぎ出した。ライチュウはどっかに行って俺はさっき貰った微妙な味の飴を噛み砕く。女の子のブランコはだんだん高くなっていって…。その刹那びゅんっと飛び降りてブランコの柵を飛び越えてスローモーションに見えた。女の子は綺麗に着地すると子供らしい無邪気な笑い方で振り返った。

「早く大人になりたい理由はですねー」
「なんだ?」
「デンジと吊り合う女になりたいからですよー」

ホントに餓鬼の成長って怖えな。


メルト・グローリーズ



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