帰り道(土沖/ほのぼの)
「夕方になると涼しいですねー」
「・・・・・そうだな」
貴方とふたり、
夏の夕暮れ帰り道。
土方さんを恐がったり、話しづらいと避ける隊士は少なくないけれど、私は、だいすき。
歩幅が狭くて歩くのが遅い私にさり気なくあわせてくれるところとか、手をぎゅって繋ぐところとか、私とこうしている時は素顔の儘で優しさを見せてくれるところとか。
「あ!土方さーん、とんぼですよー」
まだ七月の終わりなのに沢山のとんぼが群れを成していた。
あ、あの二匹、私と貴方みたいに仲良く飛んでますねぇ。
「・・・そこの二匹、俺とお前みたいじゃねえか?」
「はい!私も今それを言おうと思ってたんです!」
「総司ぃ」
もう、しょうがないなあ。
こんな風に頬に手を添えて見つめられたら何も考えられなくなっちゃうでしょう。
触れるだけの軽い口付けだけど、幸せが満ちてくる。
「・・・・・お腹すきましたね〜」
「お前なぁ・・・・・」
甘味処で散々食っただろうとか、それじゃ雰囲気ぶち壊しだとか、顔にばっちり出てますよ。
可愛いんだからなぁ。
ふふ、と笑って歩きだす。
本当にもうこの人なしの人生なんて考えられないや。
「土方さ−ん!大好きです!」
少し前を歩く貴方に大好きだといえる喜び。
貴方に愛されている幸せ。
「・・・・・俺も大好きだよ」
.fin..
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