雨夜0707072322(土沖)
あと一刻ほどで終わってしまう今年の七夕。
織姫さん、彦星さん。
あなた達二人は、今年は会えましたか…?
雨夜
「・・・・!」
もう七月だというのに、夜はまだ肌寒い。
障子を締め切って布団の中でうとうとしていたのだが、はたと気付くと雨の音。
ついさっきからなのか、待ちわびたように蛙の鳴き声が聞こえた。
「織姫さんも彦星さんも、かわいそうです・・・」
きっと雨雲がずいぶん前からあり、天の川はかからなかったのだろう。
年に一度会える日なのに。
私なんか一分でも顔を見ないと不安なのに。
布団から這い出し、障子を開け廊下に出る。
むわりとした湿気と耳心地良い雨音。
「やっぱり・・・・」
なんとなく。
本当になんとなくなのだけど、人恋しくなった。
向かうところはひとつ。
「ひじかたさぁん…」
「総司・・・・か、」
すーっと音を立てずに障子を開けると、苦笑いを浮かべる彼がいる。
「雨が・・・」
「天の川、か?」
「嫌だなぁ・・・」
土方さんも廊下に出てきて、一緒に縁側にすわる。
「あえたかな?ふたり」
「雲の上にはきっと綺麗にかかってんだろ」
「そうかなぁ?」
なんとはなしに晴れる私の気持ち。
ごめんなさい織姫さん、彦星さん。
私は毎日愛し人を見つめて生きています。
「ねぇ、土方さん」
「ん?」
「すきですよ−」
きっと今頃ふたりもこんな風に寄り添っていたらいいなぁ。
愛する人と、ふたり。
..fin.
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