影踏み(一応土沖)
ある夕暮。
街が橙色に染まり、連なって飛ぶ鳥すら眩しい時間。
愛しい貴方との帰り道。
今日はおいしい甘味屋さんに連れていってもらったうえに(相変わらず貴方は何も食べなかった)お菓子屋さんに寄って沢山のお菓子を買ってもらったから、いつもよりもっと上機嫌だった。
「土方さんの影ふーんだっ」
茶色い地面に映る真っ黒な貴方の影。
「・・・・・・・・」
子供を見るような柔らかい視線をするのも、困ったように笑うのも、全部私しか知らない。
それがどうしようもなく嬉しくて、愛しい。
「次は土方さんですよ−!早く私の影、踏んでくださ−い」
仕方がない、というように足を出し踏もうとする。が私はひらりと避ける。負けず嫌いな彼はまた足を出す、避ける。出す。
「ふふっ、早く踏んでくださーいっ」
永遠に続けばいいのに、ああ、私は貴方が、土方さんが好きだ、好きだ好きだ好きだ。
..fin.
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