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戻れない場所【リョ菊】※連載モノ/未完成


大きな部屋に一人の少年…跡部景吾が豪華な椅子に堂々と座り込み、後輩が偵察しに行った資料を目に通していた。



その資料は青春学園中等部



跡部から言わせてもらうと、まあまあ強い部類に入る中学だ。
その青春学園中等部、通称青学の所にルーキーがいると書いてあった。


それも一年で青学のレギュラーになっているらしい。


見込みがあると思っていたが、一年をレギュラーにするとは…
嘗められたものだと鼻で笑ってしまう。



するとそこにノックが掛かり、返事をしてやると静かに入ってくる二人の少年。


跡部と同じ三年生
ぴょこぴょこと跳ねた癖っ毛のある赤茶髪をし、顔の右頬には絆創膏をしている、男の身長は平均的に少し高い部類に入る少年


そして、少年の後ろには跡部に従う樺地という少年が少年の鞄と跡部の鞄、自分の鞄を持って後ろに立っていた。



「持ってきてあげたよ、鞄。樺地がだけど」


「ふん、御苦労だったな。樺地、鞄をこっちへ持って来い」


「ウス」


跡部の命令により樺地は鞄を渡す。

その様子を見ながら少年は広い部屋にあるソファーに寝転がり、テーブルの上に置いてある果物の中からマスカットを無断で食べる。
つまらなそうに一粒口に含み、食べ終わったらまた一粒口に含む。

それの繰り返しだ。


「…何勝手に食ってやがる」


「……別にいーじゃんか、ケチ。ねー樺地」


「ウス」


樺地を手招きをすると一粒、樺地の口の中に放り込む。
別に怒る訳ではない跡部は少し溜め息をすると、また資料を目に通す。


特に会話はなく、跡部は黙々と資料をまとめ執筆中。
樺地は少年の枕となり膝を貸し、少年は樺地の膝を借りて枕にし、ソファーでマスカットを一粒一粒食べている。

そのお陰で部屋は静か
跡部の執筆の音と少年の食べる音しかしない


「……ねえ」


今まで素っ気ない態度をしていた少年が跡部を見ずにそのまま食べていたマスカットを見る。
執筆中をしていた跡部はピタリと動きを止め、少年の事を見る。


「何だ?飽きたとか言うんじゃないだろうな??」

「飽きてはないけどさ。景吾が見ている資料って…青学の?」


シラっとした表情でまた一粒のマスカットを頬張る。
その言葉に驚いた跡部は目を見開き、少年を見た。


少年の口から青学という言葉はあまり聞いたことがなかった。
否、言いたくなかったのだろう。



少年にとって青学は昔の事に過ぎない…



忘れたくて忘れられない過去



跡部は少年に気を遣って敢えて言わなかった。
少年が傷つくのでは…と心配で仕方がなかった。



「ああ、そうだ。今年の青学レギュラーに一年がいるらしくてな。その偵察資料と他のレギュラー陣のデータだ」


「一年がレギュラー陣に?それ本当なのかよ…」


特に傷ついている様子はなく、逆に興味を少し持ったみたいだ。
少年は跡部に視線を移しジト目で疑いの目で見つめる。

跡部は椅子から腰を上げると少年の隣のソファーに座る。
持っていた資料を少年に渡し、果物に手を出しながら説明をする。


「相当強いらしいみたいだ。ついでに言うと青学のルーキーらしい」


相槌をうちながら少年は資料に目を通す
何処か悲しげな表情に見えたのは跡部の錯覚なのだろうか?

資料を一枚一枚、目を通していく少年

あるところでピタリと手を止めた


「越前…リョーマ……?」


青学のルーキー『越前リョーマ』



彼が青学に入学してから次々と勝利を掴んでいる。
あの乾や海堂にも勝ってレギュラーを獲得したみたいだ。

他にも試合中、目を負傷するが難なく試合に勝利。


とんだ曲者みたいだ。


「青学の偵察に行ったって事は、警戒してんの?」


嫌味っぽく笑う少年を見て跡部は鼻で高笑いする。


警戒?
そんな訳ではない。


ただ用心した方がいい部類に入っているだけに過ぎない。



青学と氷帝が戦ったとしたとしてもどうせ勝利をするのはこの氷帝。



「分かってないな。青学に警戒する必要なんてない。ただ青学のルーキーの資料が欲しかっただけだ。他はついでだ」



もし警戒するとしても青学ルーキーだけだ。
他のレギュラー陣を警戒する必要なんてない。

青学には大きな弱点がある…




それも三年生メンバー





「……ふーん、そっか。ま、オレが知った事じゃないねー。樺地、景吾が仕事終わったら起こしてくんない?」


「ウス」


少年は右手で顔を隠す様に眠りについた。
規則正しい寝息が段々と聞こえてくる。

これ以上、少年は青学について話たくないんだなと悟った跡部は話は止め、資料を整えるとまた仕事に戻った。




「(青学は一生オレらには勝てやしないんだよ。…お前がここにいるかぎりな)」


今は夢の中にいる少年を見詰めながら、跡部はまた仕事に集中した。
















「今日はここまでだ!!一年二年は片付け、レギュラー陣は速やかに集まれ。以上!!」


「「「「はい!!!」」」」


手塚の掛け声と共に同時に一斉に自分達の役割の所へと向かい、作業を始めた。

一方、竜崎先生を含むレギュラー陣は今後の予定について話ていた。



「来週のこの日に他校と練習試合を行う事になった。」


その発言に桃城は機嫌良くガッツポーズをし、越前も何処か楽しげな表情だ。

そんな中、不二は二人の嬉しそうな表情を見てクスクスと笑いながら手塚を見た。


「珍しいね。他校と練習試合をするなんて」


「今後から他校との練習試合の交流をやるみたいでな。色んな者と対戦し、様々な事を学ぶというのが主だ。」


「ということは、これから色んな他校との試合があるっていう事?」


「その通りだ。」


色んな他校との対戦


益々、桃城と越前のテンションは上がっていく。
二人がテンション上がっていく中、手塚はいつもより浮かない表情をしている。
そんな事も知らない桃城は対戦相手が気になって仕方がない。


「んで、手塚部長!!対戦他校は何処何っすか!?」

好奇心に聞いた桃城だが、手塚は黙ったままだ。
流石に違和感を持った大石は伺う様にそっと近付いた。


「手塚…?」


それでも反応のない手塚。
周りも段々と心配になっていく。




「対戦相手は氷帝だよ」


それを見かねて、竜崎先生が口を開く。
それを聞いた瞬間、三年生メンバーは肩を揺らした。


「氷帝…よく対戦する事になったっすね。」


それを知ることもない桃城は驚いた様子で竜崎先生を見る。
今もなお、黙り込んでしまっている手塚に代わって竜崎先生は話を続ける。


「まあ最初は断られたが最終的には了承してくれたよ。」


疲れた様子で竜崎先生は溜め息混じりで話をした。
何か嫌味やら色々言われたのか分からないが、疲れた様子だった。


「よりによって何で氷帝なんだ…」


「大石副部長?」


やっと拾えるかどうかの声をリョーマは拾い、大石を見る。
大石の表情は苦虫を潰した様な顔で、何処か悲しげな表情だった。


あの冷静な大石が何処か思い詰める様子はリョーマは初めてだ。

周りを見てみると大石だけではなく、乾、河村、そしてあまり面に表情を出さない不二や手塚も何処か思いつめた表情だった。


この現状が分からない、リョーマは桃城を見て伺うが、桃城も分からないという様子だ。



「大石よ、今も引きずっていては氷帝には勝てないよ?少し頭を冷やしてきな。」


「………はい」


竜崎先生からの直々にグラウンドを走らされる大石に益々リョーマは、不思議に思う。

その後竜崎先生は「お前達もだよ」と言われ、乾、河村、不二、そしてあの手塚までと三年生メンバー全員が走ることに。



明らかに三年生達の様子がおかしい。

越前と桃城、海堂は訳を知っていそうな竜崎先生を見るが話す気はないらしく「あんた達は帰りな」と言われ仕方がなく帰ることにした。













「ねえ、桃先輩。部長達と氷帝に何かあったんスか?」


一年長くいる桃城から何か知っているのではとリョーマは聞いてみるが、桃城も分からないと言うばかりでリョーマが望むような返答はこなかった。

自転車を漕ぎながら桃城と越前はそのまま進んでいく。


すると桃城は何かを思い出したか「そういや…」と話をし始めた。


「氷帝と言ったら元青学の人がいたんじゃなかったけな…」


「元青学ッスか?」


そんな話を聞いたこともなかったリョーマは興味を示し、桃城の話を聞く。


「その元青学の人は手塚部長達と同じ学年でダブルスプレイヤー。大石先輩と組んでたって話だったな…」




「じゃあ、その元青学の人と部長達に何かあったって事?」


そよ風に当たりながらリョーマは桃城を見下ろす。
桃城もリョーマと意見が合ったのか「かもしれないな」と同意をした。


だが桃城が知っているのはここまでだ。
なんでも三年生の中では禁句という噂が流れているらしい。



その噂は本当なのかは分からないが、もし元青学の人との関連で手塚達がおかしいのはきっとそうなんだろうとリョーマは思った。


「名前とか分からないんスか?」


「耳にした程度だったからな…。記憶がいまいち思い出せねーや」



こうして手塚と元青学の話題が気になって仕方がない桃城とリョーマは近くにあるテニスコートで打ち合う事にした。






そう遠くもなかったのですぐにテニスコート付近に着いた。
階段の手前に桃城は止め、自転車から降りるリョーマ。


…が、少し様子がおかしいと違和感を感じた。


「ねえ、桃先輩。なんか今日、騒がしくなくない?」


自転車の鍵を付けていた桃城は顔を上げ、そういえば…とリョーマと同じ違和感を感じた。

何時もならボールの打ち合う音や盛り上がっている歓声などが聞こえる筈なのに今日はやたらと静かだ。


不思議に思ったリョーマと桃城はすぐに一気に階段を駆け上るとそこには……


肩で息をする常連テニスプレイヤーたち



そしてその中でたった一人だけ、涼しげに立っている一人の少年の姿があった------



――――――――――――――――――――――――

+あとがき+
ついに始めちゃいました!!
リョ菊で連載モノ!!!

ほのぼのとした話とかいいなーと思ったんですけど、自分がやりたかった妄想リョ菊を書きたかったので優先してしまいました(笑)


もうお分かりになって思いますけど、英二を氷帝にいる設定にしました!


楽しいですね…
英二を氷帝に入れさせたかったんです、はい


立海や四天宝寺でもいいなと思ったんですけど、氷帝がしっくりときたので(´∀`*)←

しかし部様(跡部)のキャラが好きすぎてニヤニヤしちゃいますねw
お母さんキャラで好きです←

もう一度確認しますけどリョ菊です。
リョ菊の菊丸総受けです。
ここ重要です、はい



長くなっちゃいますのでそろそろ切らせていただきます(`・∀・´)
ではでは!!!
お読みになってくださり、ありがとうございました!!!!ノシノシ

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