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二人で一つ【快新】
目の前で倒れる君がスローモーションで見える。
必死に手を伸ばして受け止めたいのに手が届かない。
必死に手を伸ばしてくれてるのに触れるか触れないかの距離。
そのまま倒れる君は闇に呑まれていって俺の目の前からいなくなってしまったんだ------











「…っ」

重い瞼をゆっくりと開けると、カーテンの隙間から太陽の光が俺の顔に射し込んでいた。
その眩しい太陽の光を遮るように、手で顔を隠した。



あぁ…夢でよかった……


なんて思いながら、額に右手の甲を置いた。
額には汗だくで、前髪がへばりついていて気持ち悪い。
よく見れば、Tシャツとかもびしょ濡れだ。

「……最悪な朝」

溜め息混ざりに小さく呟いた。
見たくもない夢を見て、自分は汗塗れ。
本当に有りそうな夢。
正夢になったら…と考えただけでも、背筋が凍る。

「快斗?」

ガチャリとドアが開く音が聞こえる。
その扉が開く音と共に愛しい人が俺の名前を呼ぶ。
それと同時に安堵を覚える。
パタパタとスリッパの音が聞こえ俺の隣にポスっと横に座る。
香水などつけない新一だがシャンプーの香りがし、その香りはくすぐったくてすごく落ち着く。

「快斗?なんか顔色悪くないか…???」

「新一の気のせいだよ。ごめん、寝過ぎたね。今起きるから」

起きあがろうとすると新一が俺の両肩を押し、ベッドにまた倒した。
倒れた瞬間、新一の蒼い瞳が俺の事を真剣な眼差しで見つめる。

あぁ、本当に綺麗だなと改めてその瞳を見て思う。

「嘘つくな、こんな汗を掻いて何かあったに決まってるじゃねーか。」

「俺は汗っかきなの」

「………」

ジーと見つめられれば俺が折れるに決まっている事を知っていてずっと見つめる。
敵わないなー…と思いながら溜め息をすれば、新一は話すのを待っている。

「…夢を見たんだ」

「夢?」

「とーーっても嫌な夢」

「どんな夢だ??」

「…………………新一が俺の目の前で殺されちゃう夢。」

目を合わせるのが怖くなり俺は逸らした。
今ここに新一がいるって分かっていても怖かった。
あの夢に出てきた新一の瞳は……俺の好きな蒼い瞳は、輝きが失われていた。
それを見た瞬間、俺は呼吸なんか忘れて絶望感に堕ちていた。





-----これが大切な人を失う、喪失感





あれが夢だといっても、こんなの見たくなかった。
新一を失ってしまったら、俺は………



ただ絶望に堕ちるだけだろう



すると新一は呆れたのか、溜め息をついた。

こんな夢を見て、ビクビクしている俺が嫌なんだろう……
情けない自分が嫌になり、顔を枕に埋めた。

新一の事になると俺は、どうしたらいいか分からなくなってしまう…
弱気な俺でごめん……


すると、俺の左手に温もりが……
埋めていた顔をそっと上げると、新一が優しく俺の手を握っていた。

新一と眼が合うと、真剣な眼で俺の事を見詰めた。

「俺が簡単に殺されると思ってんのか??」

「…思わない。つか、俺が守るからそんなの…」

「なら、大丈夫だな」

ふわりと笑い、強く握りしめてくれることが分かる。
本当に新一は俺をどんだけ支えてくれるんだよ…

「でも俺は快斗に守られるほど弱くねーよ。お互いが生きてなくちゃ俺達はダメなんだよ。」

「…うん。そうだね」

あぁもうこの人には適わないなと改めて思う。
いつも傍に居てくれて、支えてくれる。
辛い時も黙って抱き締めてくれる。
背中を押してくれる愛しい君。

「ねぇ、新一。キスしちゃダメ??」

「……ダメって言ったら?」

「俺がやだ」

「なら、聞くな」

「………ダメ?」

ジッと新一を見つめると、段々と赤くなっていき目を逸らす。
そっと近付いても、新一は拒む事もなく俺の事を見ている。

「いい?」

「ーーーっ///今日だけだからな///」

プイッと俺から逸らす新一が可愛くて仕方がない。
新一と一緒にいるだけで嫌な事を忘れられる。
傍にいるだけで幸せになる。


探偵と怪盗


これからも危険な事が起きてしまうかもしれない。
だけど…
新一と一緒なら、なんでも出来る気がした。

「愛してる、新一」

「……俺もだよ」

いつもしているキスと違い甘い甘い味が口内に広がった。



それはもう、幸せな味がいっぱいで------



END
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+あとがき+
今回は切甘?な快新にしました!!
……どうやら私は切甘が苦手みたいです(´・ω・`)

甘々な快新が書きたいのに書けないのが、悔しいです…。
シリアスなら全然書けるんですけどね……ボソ


快斗くんは絶対に新一くんの事になったら、ヘタレになると思うんですよね(`・ω・´)キリッ
絶対に片方がいなくなったら、病んじゃうt…

今度、どちらかを病んじゃう短編を書きたいです。
ではでは!!
お読みになって下さり、ありがとうございました!!!!ノシノシ

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あきゅろす。
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