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虹色の愛し子1【シゲサト←伝ポケ】


それは空に綺麗な虹が架かっている中、深い森に小さな男の子と一匹のポケモンがいました。

男の子は楽しそうに唄を歌い、そのポケモンは優しい目で見つめ、気持ちよさそうに男の子の歌声を聴いていました。
その内に野生のポケモン達が歌声に誘われ、男の子の周りにはポケモン達でいっぱいでした。


その光景を見て、一匹のポケモンは微笑ましく笑いました。
それに気付いた男の子も釣られる様に笑いました。

このまま幸せな一時が続けばいい

一匹のポケモンはそう思うのが日常になりました。



男の子の幸せは自分の幸せ




一匹のポケモンにとって男の子は、かけがえのない存在になっていました。
今日もまた男の子の笑顔を見て、一匹のポケモンは幸せを噛み締めました……






だがある日、男の子がいつもの森に来ませんでした。

一匹のポケモンは男の子の姿が見かけないので心配になりました。
少し待っても来ません。
それを知った野生のポケモン達も男の子を捜すが見つかりません。


一匹のポケモンは森から飛び立ちました。
男の子の気配を頼りに、姿を消しながら捜しました。


気配を頼りに進んでいくと、森とは反対にある草原に辿り着きました。
上空から男の子を捜すが無造作に伸びきっている草で見えにくく、男の子の姿がまったく見えません。

そのまま捜し続けると、草原の真ん中に生えている一本の大きな老樹の所から男の子の気配を強く感じ取りました。
一匹のポケモンはすぐに老樹の近くに降り立つとそこにはうずくまっている男の子の姿がありました。

安心をした一匹のポケモンは周りを確認してから姿を現そうとしましたが、男の子はバッと顔を上げて大きな声で叫びました。


「でてきちゃだめだ!!」


何を言い出すのかと不思議に思った一匹のポケモンでしたが、男の子の姿を改めて見て目を見開きました。

男の子の体には無数の切り傷や痣が出来ていて、痛々しい姿へとなっていると……。
状況を飲み込めない中、男の子は慌てて口を両手で隠し、ある場所をジッと見てから口ぱくで一匹のポケモンの名前を呼びました。

呼ばれた一匹のポケモンは姿を消したまま、男の子にテレパシーを送ります。


その傷はどうした、と

なぜ姿を消さなくてはならない、と


すると男の子はまた口ぱくで説明をしました。


-----おまえをつかまえようとする人がいるんだ

-----みんなくさの中にかくれておまえをつかまえようとしてるんだ

-----だからでてきちゃだめ


男の子を捜すのに気を取られていたので気付きませんでしたが確かに草むらの中に何人かの人間の気配を察知しました。
姿を現してはいけない理由は分かった一匹のポケモンですが男の子の出来た傷は分かりません。
それについて聞くが男の子は辛そうな表情で口を開こうとはしませんでした。

その理由が知りたくてもう一度聞こうとした、その時でした
何か横を通り過ぎたと思ったら男の子の顔にそれが命中したのだ。
カラッという落ちる音が聞こえそれを見ると石でした。

飛んできたところを振り返ると男の子より少し大きな子供達が投げてきたと思われる石を持っていました。


「さっきからダレとはなしてるんだよ!早くよべよ!!」


「だれとも…はなしてない、よ」


「ウソつくなよ!オレちゃんときいてたぜ!!『でてきちゃだめだ!』って」


「ワタシもきいた!」


「はなしてない、よっ」


「ウソつくんじゃねーよ!」


さっきよりも少しでかい石を男の子に向けて投げてきました。
男の子は反射的に目を瞑り、右手で庇いました。



が、石に当たる衝撃はいつになってもきません。
恐る恐る目をゆっくり開けていくと、男の子に移った光景は一匹のポケモンが大きな翼で石から守っている光景でした。


姿を現したことに驚いた子供達は腰を抜かし、慌てて家へと逃げていきました。

呆然として見ていた男の子でしたが、すぐに庇ってくれた翼を目をやり、怪我をしていないかを確認をしました。
男の子から見る限り怪我をしていない様子でホッとしましたが、とても気まずそうな表情で俯きました。

それを見た一匹のポケモンは大丈夫だ、とテレパシーで送ると男の子は安心した笑顔へと変わりました。


ごめんね、だいじょうぶ?、いたいとこない?と、ぶつけられた所を優しく撫でる男の子。
あぁ…なんでこんなにもこの子とあの人間達は違うのだろうと、一匹のポケモンは心の底から思いました。


やはり他の人間を好きにはなれない。

ならばこの子だけを愛そう。

この子だけを護ろう。

この子だけを"あの世界"に連れて行っていつかは-----



一匹のポケモンは男の子と向き合うような形に羽を広げ、また折り畳みました。
男の子は不思議そうに顔を見上げ、一匹のポケモンを見ました。


そして一匹のポケモンは言いました。


人間が嫌いだ、と

人間は弱く醜くそして汚いことしか出来ない器の小さい生き物だ、と

だけどお前は他の人間とは違う、と

そして人間の世界にいさせたくはない、と…


男の子にとっては何を言っているのかはまだ分かりません。
だが、一匹のポケモンの気持ちだけは伝わりました。

人間が嫌いということ

自分のことを想っているということ

そして自分を何処かへ連れて行くということ…


静かに聞いていた男の子はどう返したら分からず、黙ってしまいました。
その様子を見た一匹のポケモンは大きく虹色の翼を広げ、男の子に言いました。



少しの間ここを旅立つ、と


なんで?と、男のは聞きました。
もしかしたら自分のことを嫌いになったのではないのかと…
弱い自分が飽きられたのではないのかと…

泣きそうな表情をしている男の子を見て、一匹のポケモンは男の子が考えていることを大体予想が出来、優しく声をかけました。


必ず迎えに行く、と

だからそれまで自分のことを忘れていてくれ、と



次の瞬間、大きく羽ばたいた翼から虹色の羽根が男の子の周りを包み込むように舞い落ちる。
虹色の羽根に包まれた男の子の目に宿っていた光が段々と失い、無意識に舞い落ちる虹色の羽根を一枚手で掴み上げ、ゆっくりと瞳を閉じ、意識がなくなりました。
男の子の体は静かに老樹の側に寝かされ、一匹のポケモンは愛おしそうに見つめました。


強い風が吹き込めば舞い落ちていた虹色の羽根は舞い上がり、男の子の髪が靡き、手に掴んでいた虹色の羽根はいつの間にか消えていました。
それと同時に一匹のポケモンは男の子を残し、天高く飛んでいきました。



---必ず迎えに行こう

---そして時がきたその時……



------お前が望む世界へと案内しよう


――――――――――――――――――――――――――――――
+あとがき+
プロローグです!
次から本文に入りたいと思います!
それにしてもネタがありすぎて禿げそうです^q^
まだまだ書きたいのがあるのになかなか書けないという苛めがあるのですよ、はい……


今回は伝ポケサトなシゲサトです。
最初は伝ポケサトが一番強いかもです…
伝ポケサト←シゲルみたいですかね
あ、でも最初だけですからね!!はい



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