ショッキング







転校から1週間がたち、クラスにもやっとなじんできました。
……ごめんなさいうそですなじんでねー。なんでだろう、私に何の非があったんだ……
うー、考えても分からんぞてかこの刺すような視線どうにかしてくれ!



「おーうまだ1週間しかたってないのに死にそうなみょうじ、おはよーさん」

「おおお忍足ー!遅いぞバカ私を1人にするなボケー!!」



相変わらずヘラヘラうさんくさい笑顔で教室に入ってきた忍足に、速攻でタックルをかましてやった。
ぐはって聞こえたけど気にしない気にしない。



「お前……毎朝毎朝タックルすんなて!ハラ死ぬわ!」

「だって忍足いない教室やばいぞ………!サ、サバンナだああ先生の言ったことは正しかった!」

「…………侑士、そいつなに?」



忍足にしがみついておいおいやってたら、教室の扉のあたりから声が聞こえた。侑士…って忍足のことか。



「おーがっくん。紹介したる、こっち来いや」



忍足の態度や言い方から察するに、どうやら忍足の知り合いらしい。警戒しながら『がっくん』の顔を見ると、



「ピ、ピンクだ………!」

「はあ?」



うわあああピンクだ、ピンクだよこの子のあたま!なんだこのかわいい髪型ー目もつり目くりくりだー!!



「え、君なにそれ反則かわいいな!ねえねえその髪どこで切ってんのうわーかわいい忍足かわいいよこの子!」

「はいはいみょうじちゃん、がっくんドン引きやからゆっくりしゃべろな?」

「うー、しょうがないなあわかったようおっしー。でもちゃん付けきっも!」

「一言多いわボケ」



忍足は関西人らしくしっかりつっこみを入れて、私の頭をよしよしとなでた。
なんかこの1週間でずいぶん子供扱いにランクが下がった気がするけど、もういいや諦めた。
だってクラスの子あんま話してくれないしー。



「がっくん、こいつみょうじなまえっちゅーねん。ほら、夏休みに跡部なぐったやつ」

「え……ええええええ!!マジお前ええ!!」

「わーバカなぐってないぞ。パンフレットぶん投げただけ!」

「いやそれでもすごいだろ!」

「あーえーっと、君名前……」

「んあ?あ、俺向日岳人!」

「がくと……あ、だからがっくんか」

「でも俺のことそう呼ぶの侑士だけだぜ?」

「おっしーきも」

「うっさいわ!」

「あーでもがっくんってかわいいね。私もそう呼んでいい?」

「別にいーぜ。じゃあ俺お前のことなまえって呼ぶから!」

「ん、おっけ。がっちゃーん」

「お前がっくんちゃうんか………」

「あれ忍足久しぶりだね」

「……もうええわ……」



ふへへへ忍足大変だね。でも忍足のいいところは、全部ちゃんと許してくれるところですよ、ホント。いいやつだ!がっちゃんもいいやつだ!
その後は忍足、がっちゃんと二人で少し話をして、始業のチャイムを節目にがっちゃんと別れた。彼は隣のクラスみたいだね。
がっちゃんが帰るのとちょうど入れ替わるように、教室に跡部が入ってきた。それを合図に教室にいる女子がいっせいに立って、



「「「おはようございます跡部様!今日もがんばってください!」」」



…………うっわー。
今日で6回目くらいだけど、毎度毎度飽きないなーといつも思う。これはきつい。
前忍足に聞いたけど、跡部はこれ、本当は嫌らしい。さすがにうざいって。去年止めろって言ったけど恋する乙女パワーには勝てずに、結局そのままなんだってさ。
そのことを聞いて、初めて跡部に同情を寄せた。好意を持たれるのはいいことだろうけど、もうこれはいきすぎてる。
本当に相手が好きなら、相手の嫌なことはしちゃだめだろ、うん。
ってまーちょっと前に忍足と色々話して、私は跡部ともっとお話したいなと思ったわけですよ。で、忍足に相談したら……あれー私忍足しか友達いないな……あー、そんでそしたらとりあえずパンフレットぶつけたこと謝ろうってことになったんです。なので実行に移します。



「あとべあとべ」

「……なんだよ、みょうじ」

「お、今日はメス猫じゃないんだね」

「なんの皮肉だそれは…………」

「なんだー自覚あるじゃん」

「うっせーよ。で、なんのようだ」



跡部は人と話すとき、絶対に相手の目を見据える。1週間で分かったことの1つです、はい。



「あのね、跡部に謝ろうと思って」

「は?」

「パンフレットぶん投げてごめんなさい」



ペコリと、後頭部が見えるくらい深く頭を下げた。気持ちめっちゃこめてます。
ちょっと待ってみたけど、跡部から何の反応もなので変に思って少し顔を上げてみた。そしたら跡部の驚いたきれーな顔が。



「……あれ、どしたの跡部」

「……………いや、なんでもない」

「あ、うわ、え」



跡部は一瞬困ったように笑うと、私の頭をぐしゃぐしゃとなでた。わー、笑ったとこはじめて見たぞ。私より100倍きれいだ。くそ。



「………俺こそ、悪かった。仕事が溜まってイライラしてた。あれは完全な八つ当たり、だ」



跡部の笑顔が嬉しくてにやにやしてたら、そんな声が聞こえてきた。
バッと音がするほど勢いよく顔を上げたら、ちょっと顔が赤い跡部……え、顔が赤い?



「うわ跡部テレてんの?!ぎゃーにあわねー!!」

「ふざけんな空気読んではやく席戻れバカ」

「うわー今のすっごい跡部だ………」

「もうテメーになんか2度と頭下げねえ」

「くはっ、テレてるー」

「……………………」



なんか目つきが優しくなった(でも言動は全然優しくない)跡部にせかされて、私は席にもどった。
すわる前に跡部と目があったので、口パクで



『これからヨロシクー』



と言って手をふったら、跡部も軽くふりかえしてくれた。よっしゃ。
忍足は隣でニコニコしててなんかうざかったので、とりあえず殴っておいた。





忍足のおかげか、友人が若干増えたようです。









*結構な急展開。だけど気にしない←






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