ああ一気に、
夏休みも終わり、とうとう氷帝学園に通うことになりました、みょうじです。
個人的にはあのだだっ広い図書室を利用するのが楽しみなんで、委員会は是非図書委員に入りたいと思います、はい。
ディストピア
9月1日、まだまだ夏の暑さが残るびっみょーな日程に、日本全国大体の学校の新学期が始まる。ホント微妙だ。
氷帝学園も例外ではなく、やっぱり9月1日に新学期開始な訳ですねー。
そして、私。
「ややややややばいーーーー!!遅れる、これマジ遅刻ルートまっしぐらだぞやべぇええええええ!!」
はいはい、期待を裏切らず思いっきり寝過ごしましたよええ!
もともと朝は弱い。でもさすがに今日は寝過ごしちゃ駄目だローと思って目覚まし2つかけましたよ!でもこの有様!
今すっごい全力疾走して氷帝まで向かってるけど、周りを見渡しても人INEE☆氷帝の制服が見あたらないよ!学生もいないよ!
パニック状態のまま走り続けたら、やっとこさ氷帝が見えました。相変わらずでかい!でもあれ、門しまってる!!
「いいいい?!門閉まってる!……けどもう仕方ない、ここは強行突破……!!」
走ってた勢いを残すようにバンッ!と大きな音を立てて門にぶつかり、その勢いを利用してジャンプ、門に足をかけた。
ええいもう今私スカートだとかそんなことは関係ない!一応スパッツはいてるし!
足と手に力を入れて、グイッと身体を持ち上げる。もう片方の足も門に乗せて、バランスが崩れないうちに門を蹴った。
軽い音をさせて着地、屈伸運動で衝撃を殺して地面を踏みしめる。よっしゃ、完璧だ……!
(……って着地の余韻に浸ってる場合じゃない、始業式始まるじゃん!)
腕時計を見れば、始業式開始1分前。やべえやべえと連呼しながら、私はまた走り出した。
* * *
(は、始まっちゃったよ……!)
ただ今体育館の入り口にいます。見当むなしく始業式は始まっちゃいました。どうすんのこれ。
さすがに今入っていく訳にはいかないので、入り口でぐるぐる回ってる不審人物になってますよ私!痛い子だね!
(ここにいても入れなきゃ意味無いよなぁ……。うーん、どうしよ)
本当なら、今日は登校したら職員室によって先生に挨拶、クラスを教えてもらってそのクラスの人達と始業式!のはずだったんです。でもこの有様!
どのみち誰か先生に会わないとクラスも分からない。でも頼みの先生はみんな始業式に出てるだろうし……ってあ、
「職員室で待ってればいいのか」
なーいす私!何で今まで気づかなかったのばかばか!
大声を出しそうになったけど、体育館の中では厳粛に始業式が行われていることに気づいて慌てて口を閉じる。危ない危ない。
でもそうと決まれば迷うことは何もない訳です。これは職員室に直行ですよ!
ちょっと安心したので、へらへらふらふらしながら職員室に向かうことにした。遅刻してるけどもう仕方ないよね!
* * *
「転校初日から遅刻とは、あなたいったいどういう神経してるんですか!!」
「……すいませーん……」
「『すいませーん』じゃなくて『すみませんでした』!!」
「すみませんでした!!」
あーあーやっぱり怒られちゃった。職員室についてぶらぶらしてたら、始業式が終わったのか先生達が来てすぐに怒られました。まあ当然だわね。
ついでに謝り方にも指導が入りました、げへ!そういえば前の学校でもよく怒られたわー。なんだろ、こういうのって身体に染みこんでんのかね。直せないッスわ。
「全くしょうがないですね…。まあいいです。とりあえずみょうじさん、あなたのクラスですが」
「はい、どこでしょう」
「あなたは2年A組です。A組には生徒会長もいますし、なんの心配もありませんよ。ちなみに私が担任の原です」
「そうなんですか?」
「そうなんです」
どうやら私は2年A組らしいです。一番先頭です。へへんラッキー!集会とかすぐ帰れるじゃん!
それよりこの先生、若い男の先生だけど、なんかおもしろい。顔立ちも綺麗だし、女子から人気ありそうですねー。
「ではみょうじさん、今からクラスに案内しますから、しっかりついて来てください。離れると迷子になりますよ?」
「え、迷子?」
「この学校無駄に広いですからね。何のために使うのか分からないような教室がたくさんあるので、覚えるまで大変なんです」
「教師がそんなこと言っていいんですか」
「みんなそう思ってるからいいんです」
「ふひっ、先生おもしろいッスね」
「……初めて言われましたよ、そんなこと。あとそんな笑い方する女生徒も初めてです」
「いやあ照れるー」
「あなたみたいな変な人ならこの学校でも生き残れますね」
「ここサバンナなんすか?」
「肉食獣には気をつけなさい」
そんな会話をしながら歩いていると、(どうやら先生の名前は悠人というらしい。なんかかわいいな!)程なくして2年A組に着いた。
ここから新しい生活がスタートすると思うと、ここから新しい生活がスタートすると思うと、ふふん、ちょっと緊張するなあ。
「では、入りますよ」
原先生の呼ぶ声に応えて、私は部屋に足を踏み入れた。そして、
「あっ!テメーあんときのメス猫!」
「あああああ!なんであんたがここに!!」
感動の再会を果たした次第でございます。
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