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キスは私、腕は貴方(百合におやぎゅ)


仁王と柳生が女の子です。



「ねえ仁王ってレズなの?」
「両刀」
「ねえ仁王ってサドなの?」
「両刀」

幸村は目を細めてふうん、と笑った。男の癖してやたら白い肌をしている。顔だってそこらの女より余程綺麗だ。ただ俺の好みじゃあない。残念。つと目を逸らす幸村の視線を追うと、俺の大切な二つの瞳があった。柳生は教室のなかにいる俺達をドアのところで待っていたらしかった。

「…じゃ、俺はそろそろ行くよ。柳生にも悪いし」
「幸村」
「ん?」
「幸村ってホモなん?」
「………あは」

幸村は俺の頬をするりと撫でて、仁王の顔は綺麗だけど全然俺の好みじゃないなあと言って、後ろ手を振りながら出て行った。ドアの脇で柳生とすれ違いざま、にこにこと手を振っていた。柳生もにこりと笑って、さようなら、と言ったようだった。柳生は、幸村が完全に視界から出ていくまでその背中を眺めていた。

「……柳生さん。こっち来んしゃい」

たまらず名前を呼んだ。せっかく二人きりなのに、俺をみない柳生が悔しかった。柳生はゆっくり振り返ると、つかつかこちらに歩いてきた。俺をじっとみつめたかと思うと、頬にすっと手を伸ばす。眉根は寄せられていた。

「柳生さん?どうしたんよ」
「…どうして簡単に触らせるんですか?」
「は?」
「………貴方に触っていいのが、世界中で私だけだったらいいのに」

柳生は悲しそうにそう言って、俺の口端に口付けた。思わず唇を追うと、一瞬触れただけで嫌々と顔を逸らす。なんで逃げるん、と捕まえると、いまはキスより抱きしめて欲しいですと告げられた。

「…なん、随分かわいいこと言いよる」
「仁王さんは、私のこと、ぎゅってしてて下さい……キスは私がしますから」

柳生はそう言って、少し背伸びして俺の額に口付けた。我に返って柳生を腕に閉じ込めると、犬だか猫だかみたいにすりよってくる。身体がぴったりくっついていて、やわらかな胸の感触が妙にリアルだ。

「何回もいじっとるのにのう……」
「……ばかなこと言わないで下さい」
「そいつに心底惚れ込んどるのはどこの誰じゃ」
「嫌われたいんですか?」

訊いた癖に口を塞いでくるのがかわいい。ちゅ、ちゅ、と何度もついばまれて、いい加減焦れたのでまた顎を捕まえた。気に喰わない、と言わんばかりに膨れた頬に笑いながら口付けて、俺からもキスさして、と「お願い」する。こうすると柳生が弱いのは知っていた。案の定、柳生は仕方ないですねと言って目を閉じた。かわいい。


「柳生さんに嫌われたらもう俺死ぬ」
「過激ですね」
「柳生は?俺に嫌われたらどうするん」
「泣きます」





だから絶対嫌わないで下さいね、と笑う口をいとしさで塞いだ。



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