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黙々と歩くこと数分。



「着いたぞ」



そう言って土方くんは立ち止まった。



目の前には『沖田』と書かれた表札の家が建っている。

しかも結構な豪邸。

綺麗な庭まである。



「わぁ〜」



あまりの凄さに声がでてしまった。



「こんな金持ちみたいな家に住んでるなんて一体どんな人…んんっ!?」





―――ピンポーン





土方くんは、呆気にとられている私に目もくれずチャイムを鳴らした。



「え、ちょっ…まだ心の準備してないのに!」


「準備するほどのもんじゃねぇだろ」


「いやいやいやいや」



そこは分かろうよ、君。

乙女の気持ち少しくらい分かってあげないと、この世の中やっていけないよ。

だからそんな冷めた目で私を見ないでよォォォ!





―――ガチャ





「へーい」





一瞬だけ、王子に見えた。





げ…幻覚!?






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