[通常モード] [URL送信]
お風呂で1



「あー…気持ちー」

ぐっ、と伸びをする。

湯気と石けんの香りに包まれると、それだけで気分が安らいだ。

今日は授業が詰まっていた上、サークルまであったからいつも以上に疲れる日だった。

こういう日は、あったかい湯船にゆっくりつかるに限る!
そう思って、熱めのお湯に、入浴剤を入れた。お湯は、ピンクがかった乳白色をしている。

ベビーパウダーみたいな優しい香りで、とても気持ちいい。



大学に入学して早数ヶ月、新しい土地や生活にようやく慣れてきた。

大学は高校の頃のような束縛がなく自由だ。毎日が新鮮で、充実してる…と思う。

でもやっぱり、家に帰って1人になると、不安になる。私は独りなんだ、と突きつけられる。
慣れたようで、いつまでたっても慣れない孤独感。
「1人」は嫌いじゃない。むしろ、自分の時間は確保したいと思ってる。

でも、「独り」は、恐い。

「ああ、もうっ!」

なんかすごくネガティブな思考へ走ってる!

頭を振って、考えないようにする。

なんか面白いことないかな?

ぼーっと鼻歌まじりにいろいろ考えてると、目の前が歪んだ気がした。

ん?のぼせた…?

そろそろ上がろうかな。

そう思って立ち上がろうとしたら、今度ははっきり分かるくらい目の前、いや、空間が、歪んでいた。


「な!?」

「え、」


ばっっしゃーーん!


盛大な水しぶきが立つ。
まるでスローモーション映像みたいな瞬間の中で、誰かと目が合った。



「「……」」


風呂に入っていた、
私の上に、
全く見知らぬ青年が、

降ってきた。

……はあ!?







.

[次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!