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04


「で、結局こうなるのか…」




3人で街に買出しに来ていた。がやがやと賑やかな街はとても活気に溢れている。露店も多く出店していて、彼女の好奇心をくすぐるに充分だった。




「気に入ったのや目に止まったところがあれば自由に寄れよ」
「そうそう、俺達に遠慮する事ァねぇぜ」
「そうですか?!じゃあ、あそこのお店入りたいです〜!」




そう指差したのは全体的にふんわかした洋服のある店だった。キャッキャッと入っていく様は歳相応に見える。




「………キッド、いま可愛いって思ったろ」
「いきなり何言い出すんだよ」
「ボニータを追う視線がそう言ってたぜ?」
「可愛い子を可愛いって思って何が悪い」
「べっつにィー」
「キッド!マタドーラさん!見てみて〜〜」




彼女に呼ばれて店に入る。いつの間にか店員に頼んで試着をしていた。その服が彼女らしさを出しているようだ。




「可愛いですよね〜〜この服〜」
「とてもお似合いですよ、お客様。こちらの色違いもスカートの色ととても調和されるんですよ」
「へぇ!じゃあ着てみますっ」




シャッとカーテンが閉められ衣擦れの音がする。そのカーテンの奥に向かってマタドーラが聞いた。




「ボニータ、靴はいらねえのかぁ?」
「いります〜!でも洋服が先で…っ」




ジャっとカーテンが開けられる音がして彼女が姿を見せた。




「オレ、そっちがいいなぁ」
「誰もおめぇの意見なんて聞いてねえから。どうだ?」




マタドーラの台詞にキッドが突っ込む。最後の台詞は彼女に向けてのものだ。彼女は1度キッドの目を見てからまた後ろを向き、 カーテンは閉めず更衣室についている鏡の中の自分を見る。そして、先程着ていた色違いのを見る。




「………」




相当悩んでいる模様。キッドが吹き出した。




「ははははっ!!そんなに迷ってるんなら両方でいいぜ?」
「えぇ!?そんなっ悪いですよっ!」




マタドーラは彼女が持っている洋服の掛かっているハンガーを素早く取った。




「あっ」
「はい、これも今着てるのもお買い上げ」
「マ、マタドーラさん?!」
「甘えなよ」
「…………」




彼女は感謝の気持ちで一杯になった。記憶喪失だし、何処から来たのかも分からないような自分にこんなにも優しくしてくれる。

2人のお金で(マタドーラは貧乏人なのでほとんどはキッドの金だが)買うのだから申し訳ない気持ちもあるのだが、彼らの笑顔を見ていて、甘えようと思った。




「……ふたつとも欲しいです…」




洋服もそれなりの数を買い、靴も何足か買った。あとは……。




「他はもうないな」




マタドーラが一息ついた時、彼女が何か言いたげに彼を見上げた。




「ん?あれ?まだなにかあったかな」
「えと…あの………」




その視線を見つめ返すと、赤い顔でまごついている。キッドはその赤い顔を見て見当がついた。気付かないなんてまだまだだなぁマタドーラ、と心の中で笑いつつ、




「ちょっとその前に休憩入れようぜ。まだ沢山時間あるから」




微笑んでキッドが彼女に言った。少し戸惑ったようだったけれども彼女は答えた。




「そうですね…。少し疲れたような気がします」




マタドーラとキッドのいきつけのカフェへ入った。すると、とてもいい席に案内される。




「高そうですけど…」
「俺らここのマスターとも仲いいから」
「気にすることないぜ、ボニータ」




2人とも爽やかな笑顔で、お金の心配は一切無用、と言っていた。そこで、キッドが胸ポケットから金色のカードを出した。




「…?どうしたんだよキッド」
「ん〜、ドラにちょっと連絡、というかお願い事」
「?」




キッドがその金色のカードの表面を撫でると、それが淡く光った。そしてそのカードからハスキーな声が聞こえた。




「キッド?」
「よぉ久しぶりドラ」
「どうしたの?珍しいねえ、連絡くれるなんて」
「ちょっとな」
「なあに?」




彼女はその光景を唖然としてみていた。マタドーラはそんな彼女の視線を感じ、説明する。




「ボニータ」
「はい?」
「キッドが持ってるのはな、オレ達の仲間と通信するための道具なんだ」
「仲間?」
「今朝言っただろ?世界中に仲間がいるって。そのうちの1人さ。ドラえもんって言って、オレ達のリーダー」
「偉い人と話してるの?」
「…ぶっ!ぎゃははっ!ドラえもんが偉いって…っ?違うちがう、親友同士だよ」




ふぅん、と彼女が視線をキッドに戻す。




「という訳だから、宜しく」
「うん、わかった。伝えておくよ。すぐにそっちに行けると思う。あ、彼女の写真よろしくね?じゃ」
「サンキュ」




会話が切れると同時に淡く光っていた光も消えた。




「これでよし」
「なんだぁ?」
「ドラに頼んで、こっちにドラミを向かわすように頼んだんだ」
「なんでまた…あっ」
「やっと気付いたか」




彼女1人だけ会話から遅れている。クエスチョンマークをサービス気味に飛ばしている彼女にキッドは聞いた。




「まだ買い物残ってるんだよな?」
「え、えぇ」
「もう少しで俺の親友の妹が来るから、そいつと買い物して?」
「妹…さん?」




彼女の横でマタドーラが、さっき話したリーダーの妹、と言った。




「なんで……」
「んー、俺たち色々な事において女の扱いに慣れてるからな」
「扱い…?」
「レディーファーストは勿論、身体の仕組みの事も、な」
「っ!!」




その言葉の意味が分かったのか、顔を真っ赤にした。すると、先程カードからしていた声に似た女性の声が後ろからした。




「こんにちは。キッド、マタドーラ」
「おぅ、ドラミ。早かったな」
「うん、お兄ちゃんが手際よく説明してくれたからね。そちらが噂の?」
「そう。可愛がってやってな〜。オレの可愛いお姫様だから」
「マタドーラさんっ」




マタドーラを恥ずかしそうに睨む彼女。そんな彼女を見てドラミがクスクス笑った。




「素直な子ね。初めまして、私はドラミって言うの。宜しくね」
「あ、よろしくおねがいしますっ」




そう互いに挨拶をし握手をした。




「まあ座れよ」




キッドが優しくドラミに言った。マタドーラが椅子を引いて座りやすくした。




「…本当に扱いなれてる……」
「あら、何の話?」




マタドーラが慌てて誤魔化す。




「なんでもねぇよ、こっちの話しっ。な?キッド」
「はは…(隠してもバレてると思うけど)」
「ふーん…」
「(ホラな)」




しばらくカフェで休んだ後、ドラミと彼女は買い物に出かけた。2人が帰ってくるまでキッドとマタドーラはカフェで留守番だ。


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あきゅろす。
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