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矛盾の騎士
空き時間



巻き戻しの街への任務が伝えられたレイン達三人は、少しだけある時間で話し合いも兼ねて食事をしていた。

任務が伝えられてから何かをするような時間があることはあまり多くない。アレンなんか、任務に行く気満々だった。


ア「そういえば、コムイさん元気なかったですね。」


凄い勢いで食事をかきこんでいたのを止め、珍しくアレンは会話を始めた。


レ「そう?普段が騒がしいから、あれくらいの方がかえって良いと思うけどね。」


心配する素振りを見せないレインに、二人は困ったような笑みをした。

ふとリナリーは、悩ましげな表情を浮かべた。


リナ「…なんか兄さん、色々心配してて働き詰めみたいなの。」


ア「心配?リナリーの?」


リナ「伯爵のっ。」


レ「………。」


持っていたフォークをピッとアレンに向けたリナリーは、何となく怖かった。

紅茶の入ったカップを手に持ちながら、コムイの様子を呟く。


リナ「最近、伯爵の動向がまったく掴めないらしいの。嵐の前の静けさみたい、ってピリピリしてるのよ。」


レ「確かに、アクマがチラホラ出てきてるくらいで、他は何もないな。良いと言えばいいけどね。」


アクマやイノセンスの出現は、討伐や回収、解決をしなければならないが、伯爵達の動向を探るための手掛かりとなる。

今はその手掛かりが消えかけている。

アクマ出現が減ったものの、素直に喜べない現状に三人は表情を曇らせた。


レ「…まあ、俺たちが気にしても仕方ないことだし、早く食べようよ。」


ア「そうですねっ。」


言うなりアレンは凄まじい勢いで食事を再開した。その食いっぷりをまじまじと見ていると、リナリーがこちらの食事を見ていた。

なに?と首を傾げると、リナリーはレインの食べてるものとアレンの食べてるものを交互に見比べた。


リナ「レインが食べてるものは、量は少ないけど品数が多いよね。アレン君のは、量が多いし品数も多い…。」


レ「…俺にその量を求めてるの?」


恐る恐る言うとリナリーは笑いながら首を振った。

実際、何故アレンがこんなに食べるのかはよく理解できない。寄生型だから、とはよく聞くけど俺も寄生型だ(公表してないが)。

なのにこの差は何?

アレンの食べる量を片付けろって言われるより、アクマ倒すことの方が全然良い。


ア「へいんはんはふくはふぎはんへふほっ。もっほはべはくひゃはべへふほっ。」


レ「はいはい。」


例のお粗末な口の周りに加え、食べながら喋るアレンの口からは豆鉄砲のごとくポンポンと食べ物が飛んでくる。

リナリーとレインは相変わらずの引き吊った笑みだが、その汚さと聞き取れない言葉に慣れてしまっていた。


そして改めて感じていた。


…これが「ホーム」か、と。


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あきゅろす。
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