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覇王様の十代育成計画奮闘記





『しばらく悪魔のカードを持ち歩くな』




俺が発した一言に十代はきょとんとした間抜けヅラをする。


「えっ…ハオ?悪魔ってユベルのこと?」

『そいつ以外に貴様は悪魔族のモンスターを持たぬだろう。何を当たり前の事を言っている』

「何で駄目なんだよぉ。俺はユベルと一緒にいたいぜ」


どうしてどうしてとしつこく俺に言葉を飛ばす十代。煩くてしょうがないのだが、理由が理由なので此処で折れるような事は決してしない。


それこそ、身(魂)を削る思いで十代に精霊を可視化させるまで至った。全く此処まで苦労することになろうとは、露ほども思っていなかった。物覚えが悪い訳ではないが、幼き身に覇王の力を無理矢理覚醒させては、流石の十代も心と身体、両方が壊れてしまう。それではもともこうもない。過ぎたる力は自滅しか招かぬ。ゆっくりと着実にその身に馴染ませていって、ようやくはっきりと精霊を視ることができたのだ(何故か十代には触れられないが『覇王』としての力のみ干渉ができた)…まったく先が思いやられる。一体何時になったら俺は還れるのだろうか。


精霊が見えるようになり、十代はそれはそれは歓喜した。今十代の所有する精霊は悪魔―ユベルのみだ。その悪魔を四六時中ポケットに忍ばせているから頭が痛い。しかも、十代以上に歓喜してべったりと離れないのが


『ちょっと覇王。ボクと十代の仲を裂くようなことしないでよ』


…この悪魔である。


『貴様は十代に甘過ぎる。行き過ぎた甘やかしは十代の為にならぬぞ』

『なにさ。ボクは十代のためを思っているのに!』


心外だ、とばかりに憤怒する悪魔。十代を後ろから抱き止め(精霊なので触れられないが)、離そうとしない。十代も十代で年上の姉(兄か?)ができたみたいだとまんざらではないような顔をしている。…俺1人が悪者のような言い草に流石の俺も頭にくる。


『誰のおかげで貴様は十代に存在を認められたと思ってるんだ』

『その点は不本意ながら感謝はしてるよ。でもね、何で今さらボクを十代から引き離そうとするのさぁ』


『ねー十代』と悪魔が十代に同意を求めると「ねーユベル」と十代は満面の笑みを浮かべ悪魔と顔を見合せる。その姿にまたイライラが募っていく。何故、俺が、このような感情を抱く羽目になるのだろうか。


『第一貴様は十代が大人になるべく援護する守護竜だろうが。率先して子ども扱いしてどうする』


本来の目的は何処にいった、と言及する。


『だってこんなに可愛いんだよ!こんなに小さいんだよ!子ども扱いするなって方が無理に決まってる!!』

『開き直るな』

「小さい…可愛い…?」


誰かこの悪魔の暴走を止めてくれ。最近愛に一途というよりも、ただの超ブラコンな性格に破綻してきているような気がする。そして十代は悪魔の発言に多少のショックを受けているようだった。男児にとって可愛いは誉め言葉ではないだろう。


『ともかく、多少は妥協したとしても、学校に行く時は絶対に置いていけ』

『…その間に破滅の光が襲ってきたらどうするのさ』

『俺が憑いているから心配ない』

「ハオが学校に着いてきてくれるの!?」

『ウキーッ!ますます気に入らないっ!何で覇王だけ!ボクが十代と一緒にいることに何か支障があるっていうの!?」


大有りだ。

だから俺は十代に命令しているのである。


『解らぬか?なら貴様のその腐りきった脳に教えてやろう……』



そして俺はその理由をらしくは無いと思いながらも叫んだ。






テストの最中に

答えをこっそり教える馬鹿が

何処にいるっ!!





『えーっ、だって頭を悩ませる十代を見たらつい可哀想になってぇ』

『『だって』、じゃないっ!!』




それは世間一般で言うとカンニングという行為に当てはまるのだが。しかも超悪質。






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