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ゴミ箱
駄目人間/義南
「おい、これ外せよ。…聞いてんの?外せマジで」
「嫌だ」
「ざけんなよ…、テメー本気でクラッシュすんぞ、」


ベッドの上で幼虫みたいにくねくね動く猩君。
両手両足、きっつく縛ってるから起き上がれないんだよね。
無様。


「やれるもんならやってみれば?無理だと思うけど」
「お前マジ4ねよ!!変態!!」
「あー、どうこうするつもりないから安心してよ。そうゆう趣味ないし」


長い付き合いで猩君がキレた場面はいくらかみてきたけど、僕にここまでってのは初めてだと思う。
勘違いした猩君は焦ってるけど、エロい事するつもりなんて全くないし。
怒るのは予測済みだったし。


いつもの様に1時間ぐらい、僕と猩君はエッチした。
そんでいつもの様に猩君は
「もっと腰振れ」だの
「下手なんだよ」だの、
抱かれながら指示してきた。
満たない部分があるのは当然にしろ、言い方ってもんがあるよね。
我慢にだって限界はくる。

だからこうやって縛った。
自由の身の猩君となら、話にならず喧嘩で終わるから。


「…なぁ外せってマジで。手傷いくって」
「だから嫌だって」
「なにキレてんの。意味わかんねー」
「分からないの?」
「わかんねーから聞いてんだろ、ヘクトパスカルが」


それだよ、それ。
僕がヘクトパスカルって言われる意味がわからない。


何にキレてるって、今回のことだけじゃない。
待ち合わせは余裕で遅刻するくせに僕が遅れたらぶつぶつしつこい。
約束した事も守らずに何かと理由をつける、若しくは開き直って結局ぐだぐだ。
自分が機嫌悪い時は僕にまで被害が飛ぶ。

嫌気が射してる反面、
かなり悲しい。


「あのさー…猩くんが不満あるのは分かるよ?」
「うん」
「……だからって何で、いっつも命令というか何かキレてるしさ、気分悪いんだよね」
「俺だって気分悪いっつーの」
「だったらもうヤらなくていいよね。僕も流石に萎えるし」
「…何勝手に言ってんだよ、ラジアンが!」
「あのさ、何でいつも恋人と長続きしないのか分かる?」
「そんなことテメーに言われる筋合いねーよ。何様?」
「コンポーザー様だよ。そうやって相手見下してばっかで自己中してたらどんな相手でも愛想尽かすよ」
「は?いい加減にしろよ」


喧嘩腰にすりゃいいってもんじゃないよ。
それに本気でやり合ったら猩君は体格良いだけで僕の方が戦闘能力は上だし。


まだぐちぐち言う猩君の手足解放してあげたら、
睨みながら起き上がった。
殴る気はないらしい。


「…で、なに、別れたいの」
「って言ったら?」
「4ね」
「猩君の為に死なないから。それよりね、僕は猩君の事好きだから言ったんだよ、分からないの?」
「……」


だって誰かが言ってあげないと、猩君は一生ゴミ拾いしてるだけの孤独な人生で終わっちゃうじゃない。

それに、
親に紹介出来ないしね。







後記
彼を手懐けるのは大変そうだ。
080417

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あきゅろす。
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