シゲル×リュウ/眞神蒼空様(1/1提出)



まずバシャーモの調子を確認して、そ

の後駅でショウタと待ち合わせ。

リニアに乗ってラルースに向かい、ヒ

トミと待ち合わせしてバトルタワーに

向かう。

それが今日の予定だった。

約束の時間はとうに過ぎていて、連絡

しようにもその手段は背後にいる少年

によって失われた。


「……」

「あの、」

「んー…」

「離していただけますか?」

「嫌だってさっきから言ってるはずだ

けど」

後ろから抱き締められていて身動きが

全くとれない状態。

研究所に籠もりっぱなしの癖にこの力

はなんだ。毎日と言ってもいいほど、

バシャーモと鍛えているはずの力が全

く及ばない。

「…シゲル」

「ん〜、なんだい?」

返事をしたかと思えば、肩に頭を置い

てゆっくりと呼吸をする。

やっぱり、研究明けで眠いのだろう。

ならわざわざサウスシティなんかに来

ないで自宅に帰ればいいものを。そっ

ちの方が疲れもとれるはずだ。

「今、家に帰ればよかったのにって思

っただろう」

「!?」
「君の考えてる事、だいたい想像つく

んだよね」

「だ、だってあなた疲れてるんでしょ

う」

「そうだけど、迷惑だった?」

そう言う彼の顔ときたら、ニヤニヤと

僕の返事を待っているではないか。

迷惑だなんて言わないのを分かってい

る上での表情だと思うと腹立たしくて

仕方ない。

今思えば、研究所に籠もっていて会え

ない期間がすごく長かった。テレビ電

話で話してから約一年半。

その間一切会えていないし話してもい

ないから嬉しい、と言えば嬉しい。迷

惑だなんてとんでもない。

だからといって、それを口にするのは

負けた気がしてならないから絶対にし

ない。代わりに、僕を抱き締める腕を

そっと握った。

「シンオウからわざわざ、癒されに来

てるんだけど?」

「…少しだけですからね」

にこにこと楽しそうに笑う彼に、結局

勝ち目などなかったのだ、と悔しいな

がらも彼に身を預けた。







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あきゅろす。
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