サターン×マーズ/音々様(9/20提出)




大事な任務で失敗した。折角アカギ様から頼まれたのに。元々あたしはそんなに出来る人間ではなかったし、今まで何回も失敗してきた。その度にあたしは泣いた。自分でも馬鹿だと思う、弱虫だと思う。でも、そんな姿は誰にも見せたくなかった。これでも私はギンガ団幹部だ。それなのに。

一番見せたくない人に、見られた。
サターンは自分の任務を終えて戻ってきたところだった。あたしに気付くと、いつも通り早歩きで近寄ってきた。涙が溢れるあたしの目に映ったサターンはゆらゆらと揺れている。表情がわからない。なんだかあたしが水の中に居るみたいだ。

溢れた雫が床にぽたりと堕ちた、その瞬間、ひやり、頬に冷たさを感じる。それの正体は何か、すぐに分かった。サターンの手だ。ぐい、と視線を上に向けさせられたかと思うと、そのままキスされた。驚いて目を閉じた筈なのに、視界は真っ青に染まっていた。

「…っ、馬鹿にするのもいい加減にして。もうあたし、自分が馬鹿だって自覚してるんだから」
「馬鹿にしてるつもりは無い」
「じゃあ、なに、」
「なんだろうな」
「何でキスしたの」
「さあ」

「あたしが好きなの?」

そう言うと、サターンは笑った。自分で言っておかしいとも思った。サターンがあたしを好きなんて、有り得ない、絶対に有り得ないのに。でも、

「あたしは好きだよ」
あたしと違って賢いサターンなら、もうとっくに気付いてるだろうけど、そうでしょう?





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あきゅろす。
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