ミナキ×クリスタル/遠子様(5/6提出)



私自身が魅力的過ぎるからそれに気付かなかっただけなのか、ただ単に常に一緒に居るから気付かなかっただけなのか(マツバに問うと「確実に後者だよ」と笑顔で言われた。実にムカつく男である)、クリスタルは意外にも魅力的な少女らしい。
「すまない、私の連れに何か用かな?」
そう言って、私が目を離した隙に絡まれている所から救出した回数だって片手で数えるには足らない。今だって、こうして私が隣に居ると言うのに、好奇な目線をひしひしと感じるくらい。コガネシティの自然公園、ベンチに座ってチョコチップ入りミントアイスに舌鼓を打っているこんな子どものどこが良いのやら!
「…全く不快だ」
「何がです?」
「君が男に絡まれ過ぎだと言う話だ。さっきだって、路地裏に連れ込まれようとしていただろう」
そう、今彼女が頬張るアイスクリームを買いに私が席を外した際に、柄の悪い連中が彼女を連れていこうとしていたのだ。間一髪という所で戻ってきた私が、白昼堂々何をする、とマルマインに指示し彼等に10万ボルトを浴びさせた事で最悪の事態は回避出来たが。
「抵抗すれば良いだろうに…お前ならあんな奴ら蹴散らせただろ?」
「だって、私だとやり過ぎちゃうんですもの。骨折とかさせて変に罪悪感抱くよりは、ミナキさんが助けてくれるのを待っている方が得策ですから」
全く勇ましい娘だ。ハァ、と頭を抱えた私を、クリスはおかしそうにクスクスと笑った。…確かに、確かにだ。水色の髪をふたつに結った小綺麗な顔立ち。髪と同系色の湖色、なかなか利発である事が伺える凛とした態度。中身を知らなければついつい惹かれてしまうのも無理は無いだろうが。
「はぁ…ともかくお前は私から離れるな!私のポケモンのPPが減るだけだ!」
「えー!買い物もお風呂もですか?」
「買い物も風呂もだ!」
「カジノもですか?」
「カジノは一人で行け!」
オイオイ嬢ちゃん稼ぎすぎなんじゃねぇの〜ちょーっとお話しようか、なんてカジノの屈強なボディーガード達に囲まれるなんて体験はもうこりごりである。
「全く危なっかしいと言ったら無いからな!お前は本当に目が離せない!」
「退屈しないでしょ?あ、ミナキさんアイス一口下さい」
叱られた事なんか綺麗サッパリなのか、クリスは飄々と許可も得ず私の手にあるキャンディチップの散ったバニラアイスにかぶりついた。行儀を気にしないのかこの娘は。普段は大人顔負けの表情を見せるのに、時おりする動作が年相応に子どもっぽい。…退屈しない?多いに結構だ、その通りだからな。(見た目)美少女との旅は面倒事も多いがなかなかに楽しい。一人で各地を回っていた時よりも確実に、スイクンに近付けているという収穫も感じられている。…その分気苦労も多いけれど。
「…おいクリス、お前のアイスも一口寄越せ」
「人にものを頼むときはそんな言葉使いじゃ駄目ですよ」
「はあっ?お前、自分を棚に上げて何を言」
「はいミナキさんあーん!」
「あーん」

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