レッドアイ×ミナミ/綾瀬ニコ様(8/12提出)





おまえはいつも馬鹿みたいにまっすぐな正義を振りかざして、俺の前に奮然と立ち塞がりやがる。その度に隣にいるてめえの相方は喧しく吠えるが、おまえは何も言わずにただ俺を批難するように睨みつけるばかりで。罵られた方がまだ都合良いが、何も言われず睨みつけるだけでは流石に考えざるを得ない訳で。隣の相方みてえに俺を怒れば良いのに。傍らの相棒の電撃に同調して俺を怒れば良いのに。俺の行動を否定するような瞳で見るな、何でそんな瞳でしか俺を見ないんだよ。すべて己に原因があると分かっていても、責任転嫁しておまえに怒りを募らせるばかりで。ああ、あの時の俺めちゃくちゃカッコ悪い。なんて今でこそ自己嫌悪出来るから良いけどな、あの時はおまえに会う度イライラが募って仕方なかったんだ。行動を否定されたら存在まで否定されたような気になって、どうにか認めてほしいと下心を孕んで何度も攻撃を仕掛けて。おまえを見下す口調だったけどな、本当は必死だったんだ。おまえに俺を認めてほしくてさ。今だってそうだ、こうして腕に閉じ込めてても不安なんだ。いつかおまえは俺を置いて何処か行ってしまうんじゃないかって。俺という存在を認めてもらっても結局不安なんだ。なあ、馬鹿だって言ってくれよ。こんなにも弱い俺を馬鹿にしてくれよ。そうしたら腕の中のミナミは小さく笑った。


「馬鹿な人。私のことが好きで好きで仕方ないだけじゃない」


茶化すように言うもんだから恥ずかしくなって、やられっぱなしも悔しいからその減らず口を叩く唇を塞いでやった。それにも動じずにその子供みたいな行動の方がよっぽど馬鹿よと言うもんだから、うるせーよと言えばまた鼻で笑うオブリビアの勇者様には一生敵わない。ああ、今の俺もめちゃくちゃカッコ悪い。



(それでも救われたんだ)






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