ダイゴ×ゲン/りぐろ様(7/18提出)




青臭い






付き合うってどういうことかな。ツワブキダイゴは落ち着いた口調で淡々と、どこか湿った言葉を並べる。そうして視線を泳がせる波導使いの青年を、薄桃色の唇をきゅっと閉じてまじまじととらえた。あまりに唐突な質問に、青年は視線をそらすことも忘れて呆けてしまう。自分達の会話に、そんな単語が出るだなんて、想像するだけ無駄なほど、頭に絶対をつけてありえなかった。そういう意味を含んでいなければ、別段おかしなはなしではない。しかし、自分をいつになく真剣に見つめる良き友であった彼の瞳が、どうしてかじわじわくすぶるように熱く揺らめいていた。
それは、そういうことなのだろう、と。青年は他人事のように理解した。

「ねえ、博識な君ならわかるよね」

じわ、と掌に汗が滲んだ。熱が顔まであがってきて、よくわからない焦燥感にうたれる。彼といて、こんなにも時間が経つのが遅かったことは今までに一度もなかった。なんでもいいからどうにかなってしまえと、こんなにも念じているのに、青年は未だゆっくりと時を過ごしている。それもまた彼を困らせた。かくいうデボンコーポレーションの御曹司の彼も、掌をじっとりと濡らして、後悔している。彼とはもう良き友ではいられない。あとにひけないというプレッシャーが、目の前を白くさせた。

「付き合うって、」

ひた、と緩慢な動作で指先を絡める。拒絶されたかったのかもしれない。こういうことか、と呟くときには、汗だくで嫌がられたらどうしようだとか、本題とはそれたことを考えて、やり過ごそうとしていた。青年はさらに熱が上がった。彼の瞳にうつる自分と、嫌でも視線があってしまう。絡めた指先が沸騰するように熱かった。

公式なんて必要ないくらい単純な計算式を頭に描いて、ああ、そういうことかと、今度ははっきり理解した。


彼の瞳の中で、彼と同じ目をした自分を見つける。








「こういうこと」










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あきゅろす。
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