ゴールド×プラチナ/水栗様(4/25提出)



 こいつの代名詞、我
 が儘無愛想変態性悪
 猫かぶり自己中腹黒
 二重人格エトセトラ
 。幾つか並べてみた
 ところで自分がこの
 女をあまり良く思っ
 ていないのだと改め
 て気づかされる。あ
 まりっつうか相当だ
 。今までにこいつが
 オレにやらかしてき
 た悪行の数々をふり
 返れば当然とも言え
 る。ああほんとに、
 オレはこの女が苦手
 だ。

 「寒いです」

 「温めてやろうか」

 「結構です」

 「てめぇ....」

 人も疎らな深夜のプ
 ラットホームに影二
 つ。腰をおろしたベ
 ンチは思ったよりも
 接触部を冷やした。
 そりゃあそうだ、何
 せ今夜は今年一番の
 大雪。こんな極寒の
 中外に出るっつう方
 が馬鹿だろ。その馬
 鹿が自分達であると
 いう件についてはで
 きれば触れないで貰
 いたい。全責任はこ
 の女にある。

 「ったくとんだ災難
 だぜ。おまえのせい
 で終電逃しちまった
 じゃねぇか」

 「あなたがもう少し
 速く歩いていればよ
 かっただけの話です
 。私のせいにしない
 でください」

 「はんっよく言うぜ
 、あんな重てーもん
 背負って速く歩けだ
 ?無理に決まってん
 だろ」

 「今サラッと失礼な
 ことを言いましたね
 。弁解してください
 」

 「冗談じゃねぇ、つ
 うか靴ヅレするよう
 な靴履いて来るおめ
 ぇが悪いだろ」

 本当に、全部おまえ
 が悪いんだ。連絡も
 なしに突然逢いにき
 やがって。理由を聞
 いてやれば如何にも
 こいつらしい可愛い
 くねぇ台詞。あなた
 が寂しがっている頃
 だと思って、だとよ
 。....当たってたか
 らむかついた。

 「さみぃな」

 「温めてあげましょ
 うか」

 「要ら」

 ねぇ。っつう前に抱
 きついて来やがった
 。全然温かくねぇよ
 雪女かこいつは。そ
 う思えてしまうほど
 直に触れた肌は冷た
 い。ああ、何だかな
 。始発が出るまであ
 と数時間。大袈裟な
 話、それまでに小刻
 みに震えながらオレ
 を包み込むこの女が
 凍死するんじゃない
 かってすら思えた。
 オレを温める温めな
 い以前の話、自分だ
 って相当やばいとこ
 までいってんじゃね
 ぇか。ほんとどうし
 ようもねぇよ、こん
 な時になって数少な
 いおまえの長所が見
 えてくるんだからよ
 。

 「プラチナ」

 「なんですか」

 「愛してるぜ」

 「知っています」

 期待していた言葉は
 返って来ない。ただ
 、前よりも抱き締め
 る力が一層強くなっ
 ただけ。互いの唇に
 熱が灯るのはこの数
 秒後の話だ。


 マイナーCPを愛でたい
 企画様に提出。
 主催者様並びにここまで
 閲覧してくださった皆様へ、
 最大級の愛と感謝の
 気持ちを込めて!(20100425)


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あきゅろす。
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