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◆恐怖に打ち勝て、道は開けたし 骸ツナ


※ツナがケータイを持っている、という設定です。










『メリーさん』を、知っていますか?


突然、非通知で電話が掛かってきて、不審に思いながらも電話を出ると

「私、メリーさん。今、学校にいるの」

といった風に、名前と場所を告げて直ぐに切られてしまいます。


しばらくして、また電話が掛かってきます。

「私、メリーさん。今、あなたの家の前にいるの」

同じように名前と場所を告げられて、電話は切られてしまいます。

しかしその場所が、だんだんと自分に近付いて来るのです。

そして最後には――、

「私、メリーさん。今……あなたの後ろにいるの」







***








「うーわー!見なきゃよかった!見なきゃよかった!!」



時刻は午後11時を回り、もう家にいる母や居候たちも眠ってしまっているだろう。
いつもは同じ部屋で寝るリボーンも、今日に限って出掛けていない。


綱吉は後悔をしていた。

たまたまつけたテレビ番組が、怪談やオカルトちっくなものの特集だったにも関わらず、怖いもの見たさで見てしまった自分の行動に。



「(ああ、あんな番組見た後に寝れるわけないじゃないか…!)」



もう寝る時間はとうに過ぎている。
だが眠れないのだ、綱吉はベッドの上で布団にくるまり丸くなった。

ベッドヘッドに置いたケータイが突然鳴りだすのをイメージしてしまい、思わず身震いする。



「(そ、そんなわけない…!だってあんなの迷信だし!そう、迷信!!)」



気にしない、気にしないと思うほどに気になってくる。
人間とはそういう生き物だ、なんと悲しい性。



「(…そういえば今何時だろう、しばらく悩んでたからな…)」



時刻を確認するためには、ケータイを開かねばならない。
そう思うと、手が止まってしまう。



「(…大丈夫!迷信だから、迷信だから…!)」



意を決し、くるまっていた布団の隙間からケータイへ手をのばす。


すると、


――プルルルル



「……へ、」


――プルルルル



突然ケータイが鳴り出した。
こんな時間に電話など、掛かってくる確率なんてないに等しいのだが。


そもそも綱吉には友人があまりいない、つまり電話をかけてくるのは獄寺か山本くらいだということ。
あと、あのやたら綱吉に好意を持っている奴が2人ほど。

綱吉にはあんなに気を使う獄寺が、こんな時間に電話を掛けてくることはまずありえないだろう。
山本も部活朝練のために、今は熟睡しているはず。

あの2人だってこんな時間に掛けてくるほど、常識を持っていないわけではない。


じゃあ、誰が………


綱吉の頭の中で、一つの考えが出て来る。


『メリーさん』



「○¢☆≠※ッ!!!!!?」



言葉が出ない。
声にならない悲鳴が、綱吉の口から出る。



「(どど、どうしよう…っ!メリーさんとかだったら、俺、俺…!!)」



震えが止まらない。
着信音は未だ鳴り響いている。



「(…あ、そうだ。電話に出なければ…)」



何も被害はないはず。
我ながらナイスアイデアだ、と綱吉は思った。


だが、着信音はいっこうに鳴り止まない。



「(なんで!?たしか着信音は30秒間しか鳴らないように設定してたはずなのに!)」



もう既に30秒以上たっている。
それでも鳴り止まないのは、一体何故。



「(…これ以上鳴っていたら母さんたちも起きちゃうよぉ…!)」



深夜11時過ぎに、寝ている母たちを起こすわけにはいかない。


ああもうっ、と綱吉は布団を取り払い、ケータイへ手を伸ばした。

相変わらずケータイからは着信音が鳴り響いたまま。



「(うう…嫌だ、怖い…!)」



ケータイを手に取り、受話ボタンを押す。



―ピッ



「…もっ、もしゅもしっ!?」



慌てすぎて噛んでしまった。

怖いという気持ちを少しでも紛らわすために、布団を頭まですっぽりと被る。
ベッドで仰向けの状態になったまま、ケータイを耳にあてた。



「…僕、………ろ、です」


「ひぃっ!」



ケータイから声が聞こえた。
通話中だから当たり前なのだが、今の綱吉には恐怖以外の何でもない。



「今……、貴方の後ろにいます」


「…っ!!?」



後ろ、とは、ベッドの下。

綱吉はベッドに仰向けになっている、この状態での後ろとはすなわちベッドの下だ。



「(怖い怖い!どうしたらいいんだこの後!!?)」


ケータイは通話中のままだ。
この後どうしたらいいのかわからない、ケータイの電源を切ってもいいだろうか。

恐怖で震えていると、ケータイから再び声がした。



「…クフッ、そんなに怖がらなくてもいいじゃないですか、マイスイート綱吉くん!」


「…はぁ!?」



あまりの驚きに綱吉はガバリと起き上がる。



「(何て言ったこいつ!?マイスイート綱吉くん!?あぁっ、よくよく考えてみればこの声は…!)」



獄寺、山本以外に電話を掛けてくる人物の1人。



「骸ぉぉぉおおっ!お前っ、何してんだよ馬鹿!」


「グフオッ!!」



ベッドの下に隠れていた人物、骸に蹴りをいれた。

骸は綱吉から蹴られ、壁に頭をぶつけてしまいかなりのダメージをおったようだ。



「何、人の家に勝手に上がり込んだ上に、こんな質の悪いいたずらしてんだよ!?」


「クフッ!綱吉くんが怖がる姿を見たかったので!」


悪びれた様子もなく笑顔で言う骸に、綱吉は



「もう、お前死んでこい!!」



もう一度蹴りを入れた。



痛そうながらも快感というような気持ちも混じってそうな骸の声が、夜の沢田家に響いたそうな。


めでたしめでたし。
(全然めでたくないよ!)(僕的には愛でたしですよっ!)(うるさいっ!)







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怖い話特集じゃないだろうけど、それ系のテレビ番組を見ての突発!

いやいや、あんな番組見るもんじゃないですよ。
本当怖い、まじ怖い。

メリーさんの話はうろ覚えだったけど、テレビでは似たようなのが紹介されていました。

テレビ番組見ながら妄想していて『ネタ思いついた!』と兄に言ったら親の前だということにも関わらず、「何?『綱吉くん!僕のメルヘンボックスを!』とか叫ぶ骸?」と言われて困った…。
だってノリノリでセリフ言うんだものあやつ!
せめて場所を考えろ…!言った私も悪かったが!




とまあ、こんなところまで読んでくださりありがとうございました!





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あきゅろす。
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