☆criceto.2 骸ツナ
続きです。
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突然己の腕の上へ現れた少年、その格好は――
「くっふぅ!!裸!?全裸!!?」
「…?」
骸によって抱き上げられている状態の獣耳少年は、きょとんとした表情をしている。
骸は慌てて少年にタオルケットを被せ、ソファに降ろした。
少年はきょろきょろと、せわしなく首を動かす。
「君は……もしかしなくても、綱吉くんですよねぇ…?」
「…あぅ?」
骸からの問いかけに少年は、右へ左へと動かしていた首の動きをとめ、こてんとそれを横に倒した。
先ほどまで、そう、あの錠剤を食べさせる前までは骸の手の上にハムスターの綱吉がいたのだ。
しかし、錠剤を食べさせた瞬間、入れ違いに獣耳をはやした少年が現れた。
これはもう確実的に、この獣耳少年が綱吉だということだろう。
「まさか、あの錠剤にこんな効果があるとは…」
「え…?え?」
はぁ、と小さく溜息をつく骸をよそに、綱吉はぺたぺたと自分の顔を触る。
そして己の変わり果てた手を見て、目を丸くした。
「なななっ、何これ!?人間の手ぇっ!!?」
あわあわとしながら、己の身に起こった変化を確認するために身をよじっている。
ああ、その姿のなんとかわいらしいことか。
獣耳少年…、もとい綱吉の年齢は見た目およそ5歳ほど。
「(そういえば恭弥くんがハムスターだった綱吉くんを、人間年齢にして5歳くらいだと…)」
言っていたような、気がする。
遠い記憶ではないのだが、なにしろあの時は雲雀が紡ぐ言葉よりも、手に持っていたケージに目がいっていたのだ。
覚えているワケなどない。
しかし5歳にしては少しばかり、饒舌ではないだろうか。
動作こそ見た目どうり幼子らしいが、発音は幼子に似合わず結構はっきりしている。
「(少し残念ですねぇ…、僕的にはたどたどしい喋りで舌ったらずが好ましいのですが…)」
「ぇあ…う…、リンゴくれた、人?」
饒舌かと思いきや、骸と目を合わせた途端にたどたどしくなった。
人見知りするほうなのか、と骸はなるべくにこやかな笑みを浮かべて綱吉へ手を伸ばす。
「はい、そうですよ。僕は骸といいます」
「む、くろ…さん…?」
「っ!!!!!」
ドキュン、まさにそんな効果音だろう。
人間への恐怖感による潤んだ瞳と、人見知り故のたどたどしいしゃべり。
決して骸はロリコン、ショタコン、そういった類いの趣味はない。
しかし、
「かぁーわぁーいーいーですっ!!!!」
「わきゃっ!?」
タオルケットに包まったままソファに座っていた綱吉に抱き着いた。
驚いた綱吉は甲高い声をあげる。
それにより、さらに骸の綱吉への気持ちを高ぶらせることとなった。
改めて言おう。
骸はロリコン、ましてはショタコンではない。
つまりこれは、"綱吉限定"の症状だ。
「…とにかく衣服の調達ですね…!」
見た目が5歳といえど全裸はないだろう。
この頃の年齢の子供は全裸で走り回ったり、ということもありうるが、あいにく骸にはそんな経験ない。
とにかく綱吉に合った服を見つけるため、綱吉にはソファで待つよう言い、着れなくなったり更衣(ころもがえ)したりで使わなくなった衣服を入れてある、押し入れをあけた。
が、しかし――
「な、ないです…」
小さい頃の服など、とうに何処かにいってしまっていた。
骸は整理整頓を心がけるタイプで、着れない物、使わないものは潔く捨てるのだ。
そんな骸の5歳の頃の衣服など、残っているわけもなかった。
「どうしたものでしょうか……」
首をかしげ、うなだれる。
このままでは綱吉が全裸のままだ。
だが、あるのは明らかに綱吉には大きい己の衣服のみ。
明日になれば買いに行くことだって可能だ。
しかし、寝る時はどうする?
一人暮らしの骸の家の寝具はベッドがひとつあるだけ。
人間の姿をした綱吉を床に寝かせるわけはないし、ソファは己が寝るにしてはサイズが小さい。
綱吉にソファを使わせるのは可哀相だ。
やはりベッドで寝かせるべきだ、と骸は思う。
そして衣服を着せるべきだ、とも思った。
合う服がないのだからしかたがない、骸は妥協し、1番サイズが小さい己のTシャツを綱吉に着せることにした。
押し入れを後にし、綱吉が待つソファへ向かうと綱吉は言い付けどうり、小さな身体をタオルケットで包んでおとなしく待っていた。
眠いからか、うつらうつらとしていたが。
「ほら綱吉くん、これを着てください」
「うにゅ…?」
「ばんざーい、してください?」
綱吉の口から出たかわいらしい言葉に、思わず頬が緩む。
にっこりと笑って綱吉に促すと、実に忠実に綱吉は両手を高々上げた。
「いい子ですねぇ。少しそのままで、……………はい、もういいですよ」
細い腕にするりとサイズが合わないTシャツを被せる。
「ぶかぶかですねぇ…」
「う…、暑い…ぬぐぅ…」
「わわっ、脱いじゃだめですよ綱吉くん!」
着慣れない衣服に違和感を感じたんだろう、強引に引っ張って脱ごうとする綱吉を慌てて制す。
なんとか止めた綱吉は、相変わらず眠そうで、瞳はとろんとしていて大半が瞼で見えない。
「綱吉くん、寝るならベッドで寝ましょうか!」
「う…にゃ…」
こくり、ほとんど理解していないだろうが綱吉が頷いた。
骸はそれを確認すると、綱吉を抱き上げて寝室へ向かいはじめる。
「(くっふぉ!!下着を穿かせていないですから、地肌が直に…!生尻…ッ!)」
骸の止まらない興奮はさておき、寝室に着いて直ぐ、抱き上げた綱吉をベッドへおろす。
綱吉から薄く開いた瞳で見つめられ、骸は口元をおさえてベッドとは反対側を向く。
「(同性ですが…やはり同じベッドで寝るのは気が引けます…)」
少し考えた後、綱吉をベッドで寝かせ、自分はソファで寝ることにした。
自分の体格が横たわるには大きさ不十分だが、仕方がない。
部屋を出ていこうとし、歩を進めると――、
「む…く、さ……」
「っ!!?」
ぎゅっ、と握られている己の衣服の端。
握っていた人物は言うまでもない、綱吉だった。
「一緒に寝ない…です、か…?」
「ぼっ、僕はソファで寝るので…!」
骸の額に汗が浮かぶ。
綱吉は相変わらずとろんとした瞳で、骸の衣服を離そうとしない。
「やぁ……、むく…さ…も、一緒、寝ゆ……」
「○※〒℃☆∞!!!!!」
あまりの可愛さに、骸の口から声にならない叫びが出る。
同じベッドで寝ることに多少抵抗あったが、綱吉くんが望むのなら喜んで、と骸は綱吉が横になっているベッドへもぐりこんだ。
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ツナが人間になったとか全裸だ…!、と気付いたが1話書いたあとでした←
ちなみに場所は学校、そうじ時間のときに!!
中庭そうじ中、竹ほうきではわいているときに!!
ニヤニヤしながら『ツナ全裸…っ、ぶかぶかTシャツ…!』とか言ってました。危ない人だ。
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