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宝物
I'm crazy about you.(遊十/千尋様)
ふわりと花弁の様な雪が降っていた。周りの風景は薄らと白に覆われ、しんとした空気に包まれている。

「おー、白いな!」

弾むように駆けて十代さんは両手を広げ空を見上げた。

「あまり急ぐと滑りますよ」

その様子を少し後ろから見守りながら苦笑を浮かべると十代さんは僅かに振り返り、拗ねたように唇を尖らす。

「子供じゃないんだから大丈夫だって、遊星は心配しすぎだぜ」
「すみません」

小さく笑って謝罪し、十代さんの傍に歩いていく。十代さんは再び空を見上げていた。

「ちっちゃい頃さ、雪がアイスとかだったら良いなーって思わなかったか?」
「アイス、ですか?」

首を傾げると十代さんはこちらを見て頷いた。

「だってさ、空から降り続けるんだぜ?食べ放題じゃん」

十代さんはにっと楽しそうな笑顔を向けるとくるくると回ってみせる。

「くっ…た、確かに、食べ放題ですね」

何とか笑いを噛み殺そうとしたが、吹き出してしまいそのまま笑う。
きっと子供の頃の十代さんは、雪が降れば寒さや冷たさなんて関係なく走り回って頬を赤くしていたのだろう。

「十代さん、可愛いですね」

笑みを浮かべてそう言えば十代さんは一度瞬き、見る見るうちに顔を真っ赤にした。
こうストレートに言うことはあまりないからすぐに恥ずかしがるのだ、そこもやはり可愛いと思う。例え惚れた欲目でも。
手を伸ばしひんやりとした十代さんの手を包むように握る。

「ゆ、遊星っ」

驚く十代さんに構わず、ぎゅっと手を握る。

「このまま少し歩きましょうか?」

にこりと笑うと十代さんはどこかぎこちなく頷いて視線を逸らした。

「(…可愛いな)」

戸惑いながらそっと握り返してくれる十代さんを一瞥し、笑みを深めて雪の中をゆっくりと歩いていった。



END



29100hitキリリク、シロ様に捧げます。
リクエストありがとうございました!
雪の中で微笑ましい会話をしている遊十、とのことで素敵なリクエストありがとうございます!
一生懸命書かせて頂きました!少しでも楽しんで頂ければ幸いです(^-^)
またサイトへ遊びに来てやって下さいませ。

title:瑠璃

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「きみの心臓になりたい」管理人の千尋様にまたもやキリリクを送らせていただきました。
とても素敵な遊十を書いていただきとても嬉しいです!



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