小説 YESとNOだけじゃない! 「YES、NO枕最高だな!」 そういい笑顔で言うヨハンをとりあえず1発殴った。 【YESとNOだけじゃない!】 「どこでそんなもん知った?誰が俺のヨハンに余計な知識を植え込んだんだ?」 「殴るなんて酷いぜ十代……」 「悪い、つい手が。で、誰がヨハンに言ったんだ?」 「翔がそういう枕があるって画像送ってくれたんだ」 翔。なんでだ。外国人に教えてもしょうもないことナンバー10には入るような事をなんでわざわざ教えたんだ。 しかも画像付き。解せぬ。 「で、ヨハンが持ってるのは……」 「通販で買ったんだけど、しっかりしてるんだぜ! ほら、これがYESでこっちがNO!」 はあああ、と盛大にため息をつく。ヨハンもなんで買ったんだ。お前頭いいんだろう?そんなもの要らないってわからなかったのか? ゴミにしかならないそれを半目で見る。 白地の布にでかでかとYESという文字とハートマークがプリントされた枕と、NOという文字と同じくハートマークがプリントされた枕。 枕なんて沢山あっても邪魔だろ。しかもてかてかしてて明らかに触り心地がわるそうだ。 「俺は絶対使わないからな!」 「ええー、せっかくなんだから使おうぜ」 なにが折角なのか。頭が痛くなりそうだ。 そもそも本来の使い方をヨハンは知っているのか。 「十代は誘っても態度も曖昧だし、これがあればわかりやすいだろ?」 なんだその、オレすごいだろ?とでも言いたげな顔は。 使い方もしっかり知ってる上で買ったのか。とうとう頭がずきずきと痛くなってきた。 積極的になれるなら苦労はしないしあれでも俺は勇気を出している方なのに。わかってくれないのか。ヨハンのあんぽんたん。 「とにかく、絶っっっっ対使わない!」 「一回!せめて一回でいいから使おうぜ!!」 なぜこんなに必死なんだ。そんなに普段の俺とのアレは不満なのか? 確かに技術もへったくれもないし、誘い方も誘惑の仕方だってわからないけど。でも。だからってYES NO枕はない。 「……一回でも使えばいいんだな?」 「ああ!」 ヨハンが抱えていたYESとプリントされた枕に手を伸ばすとヨハンが目を見開いて頬を喜びに染めた。 「じゃあ今夜は朝まで枕投げだな。負けないぜ、ヨハン!」 「えええええええっ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |